研究課題/領域番号 |
11680821
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
毛利 資郎 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (40117271)
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研究分担者 |
石津 彰博 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (90243930)
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キーワード | トランスジェニックマウス / 内因性遺伝子 / 導入遺伝子機能発現 / プリオン蛋白遺伝子 / 遺伝子産物の相互作用 |
研究概要 |
ノックアウトマウスの遺伝的背景について、特に行動薬理学において、その表現型に大きく影響を与えることが明らかにされ問題となったが、トランスジェニック(Tg)マウスではマウス自身のもっている野生型遺伝子と導入遺伝子の相互作用、すなわち、拮抗的、相加的あるいは相乗的に働くかなどは必ずしも明らかでない。 そこで、この点を明らかにするために、プリオンタンパク(PrP)遺伝子導入マウスを用いて、宿主のマウス遺伝子がヒト・プリオンタンパク遺伝子のマウス体内での発現とその機能に及ぼす影響について調べた。 マウスPrP遺伝子exson 3のORFのSma IからBstEII間をヒト型のプリオンタンパク遺伝子に換えたヒト/マウスキメラプリオン蛋白遺伝子発現Tgマウスをプリオン蛋白遺伝子欠損マウス(Prnp0/0)(糸原博士作製)に戻し交配し、Tg蛋白発現量と内在性野生型マウスプリオン蛋白の発現量の異なるマウス3系統12ラインのマウスを作製した。これらのTgマウスについてヒトプリオンに対する感受性を調べた。 その結果、3系統すべてにおいてそれぞれ、内在性マウスプリオン蛋白の発現がないablated-PrP遺伝子背景のラインが最も感受性が高く、次に内在性マウスプリオンが1/2量のPrnpw/0ライン、ワイルドマウスの遺伝的背景を有するPrnpw/wラインとなった。すなわち、マウス内在性プリオン発現量に比例して、ヒトプリオンに対する感受性が低下した。このことから、ヒト・プリオンタンパク遺伝子Tgマウスでは、マウスが本来有している内因性の宿主遺伝子発現が導入遺伝子発現産物の機能に抑制的、もしくは拮抗して作用していることが強く示唆された。
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