研究概要 |
多因子疾患の遺伝子解析では個々の遺伝子の機能解明が重要な課題である。一般にCommon Diseaseといわれる疾患においては遺伝子変異が軽微であり、他の疾患遺伝子と共存することにより初めて疾患への影響が明らかとなることが多い。このような場合、遺伝子の機能的影響をin vivoで効率よく検出するシステムの構築が不可欠と考えられる。本研究ではType I糖尿病モデルマウスNODにおける疾患感受性遺伝子の機能を明らかにするためコンジェニックマウス作製法をもとにその遺伝的背景の置き換えをスピードアップするスピードコンジェニックマウス系統の開発の基盤づくりを行った。(1)マウス各染色体に20cMごとにNOD/shi,DBA/2J,C57BL/6J,129/Svj,およびMSM間に多型を示すSSLPマーカーのデータベースを構築した。(2)各バッククロス世代におけるSSLPマーカー検査のための最小調査個体数の検討を行った。(3)重要な糖尿病感受性遺伝子Idd1,Idd3,Idd4,Idd5およびIdd9についてこれらの遺伝子領域にSSLPマーカーを指標としてC57BL/6J,129/Svj,およびMSM各系統由来の各染色体領域を導入してコンジェニックマウス系統を作製した。N4世代において最大、97.6%(82/84)がレピシエント側のタイプに置き換わった。(4)生殖工学的手法との併用による期間の短縮化を検討した。今後はコンジェニックマウスを用いた遺伝子間相互作用解明のシステム作りが重要である。
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