研究概要 |
1.実験動物として雌成熟日本白色家兎50羽を使用し,過負荷および除負荷が内在性細胞壊死後の膝蓋腱の力学的特性に与える影響を検討した. 2.材料および方法 (1)20羽に対してはin situ凍結解凍処理後,膝蓋腱の断面積を67%,50%に外科的に減少させて,膝蓋腱の引張応力を生理的応力のそれぞれ150%(150%群),200%(200%群)に増大させた. (2)別の20羽に対して,in situ凍結解凍処理後にpolyester製tapeを用いて膝蓋腱の引張応力を0%(0%群)および30%(30%群)に減少させた. (3)残りの10羽に対してはin situ凍結解凍処理後,膝蓋腱に処置を加えず生理的張力を維持した(100%群). (4)処置後3および6週にて各5羽ずつ屠殺し,膝蓋腱の力学的特性を非接触型歪計測を有する引張試験システムにて計測した. 3.結果 (1)200%群の弾性係数は100%群に比較し,3週では有意差はないものの,6週では有意に低下した.一方,150%の弾性係数はいずれの時期においても100%群との間に有意差を認めなかった. (2)0%群および30%群の弾性係数は100%群に比較し,3週では有意に低下した.6週では30%群の弾性係数は100%群との間の有意差が消失したものの,0%群の弾性係数は100%群に比較し,有意に低値であった. 4.以上の結果より非生理的な負荷軽減は線維芽細胞壊死後の膝蓋腱の力学的特性を鋭敏に低下させ,ある閾値をこえた負荷増大は比較的緩徐に線維芽細胞壊死後の膝蓋腱の力学的特性を低下させることが明らかとなった.
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