研究概要 |
1.画像処理を用いた客観的な組織診断支援では,腫瘍細胞領域の形態的特徴を評価し,その差異に基づき良悪性の可能性を示唆するシステムを構築する必要が有る.しかし,腫瘍領域の形態的特徴を評価する際,選択すべき評価方法,及び,評価特徴の組み合わせが未知であるという問題が有る. 2.平成11年度に購入した高機能CCDカメラを用い,種々の乳腺組織像をディジタル画像として取得し,腫瘍領域の特徴を検討した.その結果,良性腫瘍細胞領域と悪性腫瘍細胞領域を識別する方法として,複数のテクスチャ特徴の角度を用いることが有効である点が明らかとなった. 3.上記の評価方法を用い,乳腺腫瘍像の良悪性判別を試みたがあまり良好な結果は得られなかった.この理由は,個々の乳腺腫瘍によって識別に必要なテクスチャ特徴が異なっているためと考えられる.そこで,複数のテクスチャ特徴から乳腺腫瘍個別の特徴が選択されるアルゴリズムの開発を試みた. 4.複数のテクスチャ特徴を識別遺伝子として付加した仮想的生物を用い,乳腺腫瘍領域の検出を行なった.その結果,良性腫瘍と悪性重傷では選択される,識別遺伝子の組み合わせが異なっている点が明らかとなり,提案手法が乳腺腫瘍細胞領域の形態的特徴を評価するための,客観的指標となる可能性が見出された. 5.平成12年度はより多くの腫瘍像に適応し,開発手法の有意性を確認すると共に,より複雑な識別遺伝子を用い,乳腺腫瘍の良悪性の判別だけでなく,乳腺腫瘍の種類を判別可能なモデルの開発を行なう.
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