研究概要 |
環境適応能力を持つ仮想的生物を用い,ヘマトキシリシ・エオジン染色(HE染色)した乳腺腫瘍像の良・悪性を識別する診断支援モデルの開発を行なった.個々の仮想的生物は,年齢,内部エネルギー,座標等の属性を持っている.さらに,仮想的生物は,平均,分散,エネルギー,エントロピー,コントラストという,5種類のテクスチャ特徴を用いて,良・悪性の識別を行なっている.本モデルでは,正常乳腺の細胞領域,及び,悪性腫瘍細胞領域のテクスチャ特徴を,それぞれ,自己・非自己として取り扱っている. 腫瘍細胞領域の検出・評価は,学習・探索という2つのプロセスからなっており,学習ステージでは,腫瘍領域が大まかに検出され,良悪性の判別が行なわれる.探索ステージでは,より正確な腫瘍領域の検出が行なわれる. 本手法を,悪性腫瘍11症例,良性腫瘍8症例,正常乳腺2症例,計21症例に適応した結果,腫瘍領域の検出及び良悪性の識別は良好に行われており,本手法の有用性が確認された. 本手法では,探索ステージにおいて腫瘍領域の評価に用いられるテクスチャ特徴の値が,個々の対象症例において自動的に決定される.及び,腫瘍領域の良悪性評価では,個々のテクスチャ特徴の角度を用いている.その為,染色像の濃淡,組織の状態に依存することなく,正確に領域の検出,及び,良悪性の識別が可能である.
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