研究課題/領域番号 |
11680833
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
田中 邦雄 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (20041840)
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研究分担者 |
中井 啓文 旭川医科大学, 医学部, 助教授 (20142820)
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キーワード | ^<31>P-MRS / 脳内リンエネルギー代謝 / 低体温 / 脳保護効果 / ATP / クレアチンリン酸 / 無機リン / 虚血負荷 |
研究概要 |
本研究では脳内リンエネルギー代謝動態を指標として、軽度低体温の脳保護作用機序を基礎的に明らかにする目的で立案し、下記の成果を得た。 1.Mongolian gerbil の脳内31P-MRS測定用サーフェスコイルとチューニング回路の最適化を行い、本研究遂行に必要なS/N、分解能が得られることを確認した。 2.直腸温と脳(海馬)温の虚血負荷前後での変化を検討した。直腸温が37度(正常体温)の時、海馬温は約0.7度低いが、虚血後約1.4度急速な低下を示した。しかし、再灌流により急速に回復した。直腸温が34度(低体温)の時、海馬温は約0.4度低いが、虚血後約1.6度急速な低下を示し、再灌流により急速に回復し、正常体温群と低体温群ともにほぼ同様の変化を示した。 3.正常体温群と低体温群を対象に、両側頚動脈15分間閉塞前後における脳内リン酸化合物代謝動態を31P-MRSによって計測した。この結果、PCrは両群とも虚血後ほぼ同程度まで急激に低下するが、再灌流後低体温群の方が虚血前のレベルまで速やかに回復するのに対して、正常体温群では回復の遅れと、虚血前のレベルの70%程度までの回復であった。ATPは虚血後両群とも急速に低下するが、その程度は低体温群で約10%小さかった。また、再灌流により低体温群の方が正常体温群よりもATPの回復は速く、また回復程度も大きかった。Piは虚血後ほぼ同程度まで増加したが、再灌流後正常体温群で回復の遅れと回復程度の低下を認めた。 4.正常体温群、低温体温群についてオートラジオグラフィーを用いて虚血の範囲を定量的に明らかにすべく、データを解析中である。また、組織学的に梗塞巣を検索すべく標本作成中である。 5.両群において、血液ガスおよびグルコース濃度を測定したが、有意な変化は認められなかった。
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