研究課題/領域番号 |
11680841
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
笠井 健 大阪大学, 健康体育部, 教授 (30029459)
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研究分担者 |
松尾 知之 大阪大学, 健康体育部, 講師 (00209503)
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キーワード | size perception / distance perception / vergence / motion definededge / 3D display |
研究概要 |
大型3次元映像ディスプレイを用いてスクリーン(目から50cm)上に図形を提示し、図形の大きさおよび図形までの距離の知覚を実験的に計測分析した。被験者は液晶眼鏡を装着して、48Hzで左右交互に提示される図形を見ながら、ジョイスティックを操作して、提示図形の大きさ、提示距離等を調節し被験者の大きさ・距離に関する知覚を答える。提示する図形として、昨年度は明るさで輪郭が定義された通常図形を用いたのに対して、今年度は動く領域で定義される図形を採用し、明るさで定義される通常図形に対して形成される大きさおよび距離の知覚と同じ知覚が得られるか否かを実験的に検討した。動きの領域で定義される図形はランダムドットで構成され、背景のランダムドットは異なる動きによって定義されている。もし動きが背景と同じになれば輪郭は消滅する。明るさで定義される図形はV1→V2→V4→TEO→TEの経路で処理される。動きの認識のための経路は、V1→V2→V3→V5(MT)→MSTが関与していると考えられているが、動きの領域で定義される輪郭の図形認識に関わる神経回路は明確にされていない。大きさ・距離の知覚に関する現象を明るさで定義される図形に対するものと、動きで定義される図形に対するものを比較し、両者に本質的な相違が見いだされれば、両種の図形に対する知覚は別々の神経回路によりおこなわれ、相違がなければ同一の神経回路により行われている可能性が示唆される。 実験の結果、両種の図形に対して本質的な違いは観測できなかった。従って、視覚対象物の客的大きさおよび目からの距離を知る脳の神経回路は、動きの処理と明るさの処理を別々に行った後、輪郭、形状等の結果が共通の神経機構に送られて、客観的な大きさおよび距離の計算が行われるものと考えられる。
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