平行平板型レオスコープ実験システムを構築し、血栓形成、赤血球変形および破壊を決定する流れの条件を研究した。特に、赤血球が変形を始めるときの、せん断応力と変形の程度との関係を計測し、指数関数近似によって、特性応力なるパラメータを求めた。赤血球を遠心分離によって密度の大きさで区分して、この測定を行なった。赤血球は血管内循環時間が長くなるとともに、密度が増加する、すなわち、内包する水分の量が減少することが知られている。測定の結果、赤血球が内包する水分の量が減少すると、赤血球が変形するための特性応力が増加する、すなわち変形性が減少することがわかった。また、凹凸円錐型クエット流装置によって、血栓形成、血球破壊とせん断速度、せん断応力との関係を測定できるシステムを構築した。装置を構成する円錐の回転速度を制御することによって、周期的にせん断速度が変化する流れをin vitroにおいて実現し、拍動流における血栓形成、血球破壊を研究した。その結果、100s^<-1>以下のせん断速度においては、血栓の成長が著しい。拍動流においては、拍動数や最大流速を調整して、100s^<-1>以下の時間が2s以内になるようにすれば、血栓の成長を抑制できる。500s^<-1>以上のせん断速度が加わり続けると、血球破壊が進行する。拍動流においては、拍動数や最小流速を調整して、300s^<-1>以下の時間が挟まれるようにすれば、血球破壊の進行を抑制できる。ことなどが、わかった。本研究によって、血栓成長や血球破壊の抑制に、流れの拍動性が有効なことがわかった。
|