研究概要 |
コラプシブルチューブの座屈変形を対象として,二次元および三次元の数値シミュレーション,および実験との比較を行った。実験では長さ160mmのシリコンゴム製のチューブを用い,チューブ内で一様な経壁圧を静的に変化させ,チューブの断面形状をレーザライトシートにより可視化を行った。二次元の計算では,薄肉シェルに対する座屈理論より導かれる基礎式を数値的に解き,チューブの変形形状を求めた。三次元計算では,アイソパラメトリックシェル要素を用いてチューブをモデル化し,変形解析法としては全ラグランジュ法に基づいた非線形有限要素法を用いた。計算と実験との比較の結果,以下のことが明らかとなった。コラプシブルチューブの端面から離れた中央領域での断面形状は,二次元計算により解析が可能である。流れと壁の変形との一次元連成問題で用いられるチューブ則については,二次元計算により予測が可能である。コラプシブルチューブ端面は通常は剛体円管に接続され,座屈時のチューブ形状は端面近傍ではチューブ軸方向に大きく変化し,このため三次元解析が不可欠である。コラプシブルチューブはゴム製であるが,線形弾性体としての取り扱いが可能であり,微小歪みを仮定しても妥当な座屈大変形が得られた。大動脈弓をモデル化した管内の拍動流に対する実験,および三次元数値シミュレーションを行った。ただし,血管壁は剛体壁とし,大動脈弓のモデルとしてテーパ付きU字管を用い,流体はニュートン流体を用いた。断面内での管軸方向流速分布について実験結果と計算値とで比較を行い,計算によりほぼ実測値が予測できることを示した。 また,断面内二次流れの計算結果を示し,曲管内の定常流に発生する二次流れとは異なり.一対の渦が流れるとともに三対の渦に変化し,さらに曲がりの終端部では一対の渦にもどる特異な二次流れとなることを明らかにした。
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