MRIによるひずみの少ない拡散係数分布図を作成すること、詳細な自由水拡散係数の測定をおこなうことを目的として、Line Scan Diffusion Image(LSDI)法のパルス列を作成した。また、multi-exponentialの信号変化にたいする測定を可能にした。プログラムはGE SIGNA MRI scanner(General Electric Medical Systems)における開発ツールをもちいた。平成11年度には、LSDI法およびEPI法によるイメージひずみを検討する目的で、同一スライス面での比較をおこなった。この結果、副鼻腔のようなAir-Tissue interface近傍の撮像面において、Gradient EchoをもちいたEPI法では、T_2^*の影響が大きく現れイメージにひずみをもたらすことが確認された。この結果は平成11年5月にPhiladelphaで開催された国際磁気共鳴医学会(International Society for Magnetic Resonance in Medicine 7_<th> Scientfic Meeting)および平成12年10月、第28回日本磁気共鳴医学会において発表した。今回、作成したLSDIパルス列では、multi-exponentialの信号変化にたいする測定が可能であるが、ここでは一度の測定で、任意部位の信号の減衰過程を、最大20ポイントの異なる磁場勾配を設定することで観測することができる。脳内自由水拡散係数測定において、multi-exponentialの信号変化の測定を試みたが、LSDI法ではSN比が低いために遅い拡散成分の信号変化を明確に捉えることができなかった。また、脳の拍動が原因と考えられる信号強度の変動が観測された。この結果をもとに、脳拍動の描出が可能であることが示唆された。
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