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2001 年度 実績報告書

シャイ・ドレーガー症候群の起立性低血圧を克服するバイオニック動脈圧反射装置の開発

研究課題

研究課題/領域番号 11680862
研究機関高知医科大学

研究代表者

佐藤 隆幸  高知医科大学, 医学部, 教授 (90205930)

研究分担者 RAICU Valerica  高知医科大学, 医学部, 助手 (20304678)
キーワード動脈圧反射 / シャイ・ドレーガー症候群 / ダイナミクス / 交感神経 / 起立性低血圧
研究概要

開発に関する基礎研究
動脈圧反射は、さまざまな外乱による脳の潅流圧変化を抑制する機構としてはたらく極めて重要なフィードバック制御システムである。時々刻々と変化する動脈圧は、頚動脈洞や大動脈弓の圧受容器で検知され、圧受容器神経活動として血管運動中枢にフィードバックされる。血管運動中枢はこの圧受容器神経活動に応じて、交感神経活動を変化させる。その結果、血管の収縮・弛緩が生じ、外乱の影響が抑制されることになる。シャイ・ドレーガー症候群では、延髄を中心とした神経変性のため血管運動中枢が冒される。そのため、動脈圧反射失調となり重度の起立性低血圧になる。そこで、圧センサー→人工的血管運動中枢→電気刺激装置→交感神経刺激装置→交感神経からなるフィードバックシステムを試作開発した。シャイ・ドレーガー症候群様の動脈圧反射失調を呈するラットでは、head-up tiltにより、数秒以内に動脈圧が60mmHgまで低下するが、本装置を埋め込んだラットでは、head-up tiltによる動脈圧低下を検知した人工的血管運動中枢から、自動的に電気刺激の頻度が増加し、動脈圧の低下が防止された。さらに、その機能的ダイナミクスは、生体固有の動脈圧反射と類似していた。すなわち、本装置が、生理的な血管運動中枢の機能を代行できたことになる。以上のようなことから、シャイ・ドレーガー症候群の起立性低血圧を克服するバイオニック動脈圧反射装置の開発は可能であると結論づけられた。
ヒト動脈圧反射のダイナミクスの同定
健常男子(20-30歳)の撓骨動脈をトノメータ法で測定しながら、チルトベッドのチルト角を0か30°に4秒毎にランダムに変えた。ついで、動脈圧反射を開ループにするために、トリメタファンを持続投与しながら同様の計測を行った。チルト角変化が動脈圧変動に与える影響を伝達関数として記述した後、動脈圧反射の開ループ伝達関数を推定した。開ループ伝達関数の定常ゲインは5.4±2.1で、入力周波数の増加とともに、ゲインが減衰する低域通過特性を示した。遮断周波数は、0.02Hz付近であった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Sunagawa K: "Integrative sympathetic baroreflex regulation of arterial pressure"Ann N Y Acad Sci. 940. 314-323 (2001)

  • [文献書誌] Kawada T: "Dynamic sympathetic control of atrioventricular conduction time and heart period"Am J Physiol Heart Circ Physiol. 280. H1602-H1607 (2001)

  • [文献書誌] 佐藤隆幸: "情報型人工臓器の基礎.岩波講座「現代医学の基礎」第14巻「移植と人工臓器」(浅野茂隆, 小澤和恵, 藤正 巌 編)"岩波書店. 13 (2001)

  • [文献書誌] 佐藤隆幸: "心臓血管系の調節.日本エム・イー学会編/ME教科書シリーズB-1「心臓力学とエナジェティクス」(菅 弘之, 高木 都, 後藤葉一, 砂川賢二 編著)"コロナ社. 14 (2000)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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