研究概要 |
(1)イギリス労働党政権の教育政策綱領について明らかにした。「教育水準の向上」をキーワードに、特に経済的・社会的弱者の教育補償を重点的に進めていることが分かった。 (2)実地調査研究の遂行にあたり、ロンドン大学教育研究所のS.Power教授から指導を受け、教育改善推進地域(EAZ)の政策に焦点をさだめて遂行することにした。その主な内容は、(1)EAZ政策の起源と実施計画を明らかにすること。(2)実施過程とゾーン、学校、家庭レベルへの影響について検証すること。(学校の成績、カリキュラム改革、学校文化、社会包摂、ゾーンの管理、教師の活動など)。(3)公教育政策の実施に当たり、国と市民社会との関係性の変化を明らかにすること。 (3)教育雇用省(DfEE)でのインタビューで、EAZの申請の手続きや候補地の決定の仕方が判明した。 (4)教育水準庁(OFSTED)でのインタビューで、EAZについての査察内容の要点や評価の仕方について明らかになった。 (5)全国教員組合(NUT)を訪問し、EAZに対する教員の対応や意識についてインタビューした。 (6)2年間で、延べ7箇所のEAZを訪問調査した。The East-Basildon,Newham(2回訪問),Kent-Somerset,Leigh,Weston super-Mere,North Southwarkである。以上の訪問を通して、(1)貧困対策と学力向上策との連結した統合的施策を実施していること。(2)EAZのフォーラムは、公的セクター、私的セクター、ボランタリセクターのパートナーシップによるニュー・ガバナンスを試行していること。以上の成果を得た。
|