研究課題/領域番号 |
11691005
|
研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
加藤 泰建 埼玉大学, 教養学部, 教授 (00012518)
|
研究分担者 |
坂井 正人 山形大学, 人文学部, 助教授 (50292397)
関 雄二 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 助教授 (50163093)
大貫 良夫 〔財〕リトルワールド博物館, 館長
井口 欣也 新潟大学, 人文学部, 助教授 (90283027)
|
キーワード | アンデス先史 / ペルー / クントゥル・ワシ遺跡 / タンタリカ遺跡 / リモンカルロ遺跡 / 形成期 / 考古学 / 文化人類学 |
研究概要 |
1.ペルー北部山地ヘケテペッケ河水系における三つの遺跡、クントゥル・ワシ、リモンカルロ、タンタリカにおいて発掘調査を実施した。またクントゥル・ワシ村で進行しつつある社会開発の実態について、文書資料、書簡、報道記事等の資料整理を行った。 2.クントゥル・ワシ遺跡は標高2300mの地点にある形成期の大神殿で1988年以来の調査実績がある。中央基壇、中央広場、西基壇など主要建築部において集中発掘を実施し、大神殿が建立されたクントゥル・ワシ期から次のコパ期にかけて生じた神殿建築の具体的な変遷過程についての実証的データを把握した。とくに大規模な地下水路システムの建設や設計変更の実態を解明することができた。 3.タンタリカ遺跡は標高3200mの山上遺跡である。1999年の試験的発掘調査の結果を踏まえ、山の麓の建築群と墓の調査、中腹部の建築群の調査を継続するとともに、新たに山頂部付近の墓の調査を行った。調査の結果この特異な立地の遺跡はインカ帝国の支配下にあったクイスマンク王国の時代に建設されたもので、近隣地域やカハマルカ盆地とは異質な歴史を持つ特殊な場所であったことがあきらかとなった。 4.リモンカルロ遺跡は海岸に近い形成期神殿である。今回着手した発掘調査によって、二時期にわたる神殿形成のプロセスと崩壊の様相があきらかとなった。前期には石材を用いた二つの基壇が平行位置に建設されたが、後期になると両者をつなぐようにして円錐形の日干しレンガを用いた基壇が増設され、三つの基壇が中央の方形広場を囲むU字型配置の神殿となった。この後期の建築にはクピスニケ様式の土器が伴う。その後、基壇構造は出水による被害を受けて放棄された。海岸近くのリモンカルロ神殿と山地クントゥル・ワシ神殿の関係を把握する重要な実証データが得られたことになる。
|