研究概要 |
本年度は3年計画の最終年度に当たるが、ほぼ当初計画通りの調査を行った。以下に、今年度調査した言語(括弧内は国名)を示す。加賀谷;グウェレ語(ウガンダ),ソガ語(ウガンダ),クワヤ語(タンザニア),湯川;カンバ語(ケニア)、エンブ語(ケニア)、メル語(ケニア)、ザラガ語(ケニア)、梶;アンコーレ語(ウガンダ), 以上の他にも研究協力者により、ケレウェ語(小森純子、タンザニア),ベンデ語(阿部優子、タンザニア),バチャ語(神谷俊郎、南アフリカ),マー語(R.Besha、タンザニア),スンブワ語(K.Kahigi、タンザニア)の調査を行った。 以上の調査言語のほとんどでは,ほぼ2000語におよぶ語彙,音声,音韻,文法等の全般的な調査と分析を行ったが,一部の言語に関しては引き続き調査が必要であると思われる。 この3年間の調査自体はほぼ満足すべきものであるが,アフリカ諸国の言語の多くは消滅の危機にあり,現在を除いてはその記述・記録が不可能となること,また急激な社会変化により、多くの言語が歴史上見られなかったほどの早さで変化していることなどを考えると,アフリカ諸言語の調査分析から得られる成果はきわめて重大であり,これまでの言語理論の精密化や新たな理論的展開が十分に期待できる。アフリカはいわば壮大な言語実験場であり,幾つかの言語の定点観測を行いつつ,経験の深い優秀な調査者がより精力的に調査を行う必要があると痛感する。 この3年間の調査結果は,言語学会,アフリカ学会や多くの学会誌等を通じて発表してきたが、今後も多くの成果発表を予定している。また別途の論文集として出版する予定である。
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