研究概要 |
研究代表者、研究分担者及び研究協力者の全員(林和生を除く)は、1999年8月21日〜9月19日の間、中国四川省成都市において、資料(地誌・統計書・地図類など)の収集を行うとともに、成都市域の中心部、及び郊外の龍泉駅区において、現地調査を行った。現地調査に際しては、自動車を適宜借り上げるとともに、3人の通訳、7人の調査補助者、1人の現地協力者を雇用した。収集した資料の一部は、我が国へ郵送した。現地調査項目は、以下のとおり。 1、中心部の都市景観の変容。2、中心部市街地の再開発。3、都市国有企業の生活空間。4、郊外(龍泉駅区)の土地利用変化。5、郊外における観光開発(農家楽)。6、中心部及び郊外における自由市場の展開。7、郊外住民の生活空間。8、郊外農村の景観変化。 調査結果、明らかになった主要な点は、以下のとおり。 1,市場経済下に、四川省の省都成都市の中心部は、再開発が進み、急速な変容を示しつつある。 2,その際、古都としての古い町並みの保全に関する配慮は、ほとんど行われていない。 3,国有企業などの「単位」の生活空間は、住宅の払い下げなどにより、大きな変容を迫られている。 4,郊外農村の土地利用は、「開発区」の設定や、商業作物(果樹)の導入などで、急速に変容しつつある。 5,郊外農村では、「農家楽」と呼ばれる、一種のグリーン・ツーリズム施設が普及しつつある。 6,中心部でも、郊外農村部においても、小売及び卸売の自由市場が活発に機能している。 7,農村部では、集鎮を中心とした生活圏が存在するが、Skinnerが指摘したほど、強固なものではない。 8,農村の景観は、集団化、文化大革命、改革開放政策などにより、ドラスチックに変貌した。 調査結果は、2000年3月末に日本地理学会において報告するとともに、「中間報告書」として公刊する。
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