研究概要 |
1,発展途上国の女子教育の現状についての調査結果は次のとおりである。 地域の経済発展が女子の就学率と一致し、所得が高い家庭は女子教育への志向を持つようになる。また、高い経済成長率が労働市場への女子の参加を必要とし、女子教育の促進へとつながる。しかし、地域によって女子教育の進行状況はかなり異なっている。 (1)アジア 南アジアは初等教育の普及が遅れており、学校建設や教科書など教育インフラ整備が課題である。東・東南アジアでは初等教育はすでに普及し、教育開発の中心は中等教育に移行している。中等教育以上の教育施設や教員養成が課題である。 (2)アフリカ 経済不況と政治的不安定とにより、基礎教育が進んでいない。 教育計画の策定が課題である。 (3)ラテンアメリカ 初等教育はかなり普及しているが、中途退学者や留年者が多く、そのためのノンフォーマル教育が課題である。 2,発展途上国の女子教育阻害要因をアフリカ諸国を中心に考えれば次のようになる。 (1)政策的要因 教育費の受益者負担政策 (2)経済的要因 家事労働の負担 (3)文化的要因 女子特有のイニシエーション(成人式)、早婚、妊娠、婚資制度、固定的な性別役割、学校におけるセクシャルハラスメント 3,結論として、女子の通う学校の特徴がより深く教育の成果につながっていることがわかった。例えば学校への距離と費用が大きいほど成果が小さい、男女別学の宗教的・伝統的な学校の方が成果が大きい、女子教師の多い方が成果が大きいなどである。
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