研究課題/領域番号 |
11691024
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
竹沢 尚一郎 国立民族学博物館, 博物館民族学研究部, 教授 (10183063)
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研究分担者 |
坂井 信三 南山大学, 人文学部, 教授 (00140012)
三島 禎子 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 助手 (20280604)
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キーワード | 西アフリカ史 / 考古学 / ガオ帝国 / マリ / 稲作 / ビーズ / 長距離交易 / 物質文化 |
研究概要 |
本年度は3年間の研究の最終年度にあたっており、マリ共和国のガオ地区で発掘調査を行った。ここは15-16世紀に最盛期を迎えたガオ帝国の根拠地であり、ガオ東北のサネ遺跡の3ヶ所でおこなった発掘からは、大量の稲や土器のほかに、鉄製の馬具(未確認)、銅製の装飾品、および500点を超えるビーズを発見した。これらのビーズは、ガラス製を筆頭に、輝石製、土器製、金属製、貝製とさまざまであり、ガラスを溶かしたと考えられる小型のるつぼも約20個発見されていることから、地中海地域から運ばれてきたガラス製品を、この場所で溶解して製造したと考えられる。遺跡の年代の測定はまだできていないが、付近の墓碑銘の記述からは、西暦紀元12-14世紀と推測される。 従来、西アフリカの遺跡からこれほど大量のビーズが発見されたことはなく、この時期の西アフリカに大規模な長距離交易が存在していたことを証明する資料として大変貴重なものである。また、鉄および銅は遺跡付近には原料が存在せず、これも遠隔地から運ばれてきたと考えられる。これらの物質文化および交易の実態は、ガオ帝国の成立に先立って、かなりの規模の長距離交易が実施されていたことを証明するものである。 本年度は最終年度であるため、これまでにガーナ帝国地域、マリ帝国地域でおこなった研究成果も合わせて、「考古学と帝国」(仏英文)と題する報告書を作成中である。これは、わが国とマリ共和国をはじめ、海外の研究機関・研究者に送付して、成果を世界に広く還元する予定である。
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