研究課題/領域番号 |
11691025
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
菅谷 文則 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (10275175)
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研究分担者 |
三船 温尚 国立高岡短期大学, 産業造形学科, 助教授 (20181969)
横田 勝 国立高岡短期大学, 産業造形学科, 教授 (10029225)
田中 俊明 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教授 (50183067)
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キーワード | 漢代 / 青銅鏡 / 山東省 / 日光鏡 / 精白鏡 / 画像鏡 / 越と楚 |
研究概要 |
日本列島の文明形成に最も影響を及ぼしたアジア大陸の地域は、橋梁としての朝鮮半島と山東半島であったが、山東半島の古代銅鏡については、まとまった研究がまったくなかった。その実態を解明するため、この2年間山東省文物考古研究所、山東省博物館、山東省文物商店、青州市博物館、臨沂市博物館、済南市博物館などで、あわせて691枚の銅鏡の調査をおこなった。調査項目は、写真撮影、法量測定(重量を含む)、金工学的観察、冶金学的観察であった。後二者は、おもに共同研究者の高岡短期大学の教官によってなされた。 調査対象とした銅鏡のうち、およそ80%は1949年以降に山東省で出土したものである。20%は、古くからの収蔵品で、なかには済南市在住の日本人が所有していたものもあった(山東省博物館所蔵鏡)。出土鏡の約70%(全体の約60%)は、学術調査で出土したもので、銅鏡に記名があったり、袋や箱にデータ記入があった。 鏡式でいうならば、前漢では草葉文鏡・日光鏡・昭明鏡が多く、小形の日光鏡の多いのが注目された。日光鏡には鏡胎の原簿で2種に分類できるようで、九州地方で多く佑製された日光鏡との関連が注目された。三角縁神獣鏡は1枚も嘱目しなかった。画像鏡とその他の神獣鏡は、調査前の予想をくつがえして多かった。八禽鏡などの江南系の小形鏡が後漢段階では増加する傾向をみてとることができた。なお、年号鏡1枚を見出した。歴史的には、戦国時代に越が沿岸部から山東半島へ、楚が大陸部から山東省の内陸部に深く領土をのばしていたことによって、山東省と江南との交通網が整備されていたことが、江南系の鏡式が多いことと関係するものかどうかを、今後の検討材料としたい。
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