研究課題/領域番号 |
11691037
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 一般 |
研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
福田 アジオ 神奈川大学, 外国語学部, 教授 (60120862)
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研究分担者 |
古家 信平 筑波大学, 歴史人類学系, 講師 (40173520)
橋谷 英子 新潟大学, 人文学部, 教授 (80189513)
広田 律子 神奈川大学, 経営学部, 助教授 (70260990)
菅 豊 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (90235846)
中込 睦子 筑波大学, 歴史人類学系, 講師 (60302337)
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キーワード | 改革開放 / 民俗の変化 / 道士 / 集落景観 / 風水 / 五聖 / 兄弟間の分家 |
研究概要 |
近年中国において民俗学研究が復活し、民俗調査も盛んになってきている。しかし、未だ個人的関心に基づく個別課題の調査が一般的であり、特定の村落における民俗の全体構造を明らかにする民俗誌的研究は行われていない。本研究は中国江南地方の村落について集中的な民俗調査を実施して特定村落における民俗の相互連関を明らかにし、地域の民俗的構造を把握した民俗誌を作成しようとするものである。研究計画は二年間認められているので、本年度は民俗誌作成のための調査が可能な村落を設定し、予備調査を行うことが課題であった。研究計画申請時に予定した村落が昨年6月の豪雨による水害のために調査実施不可能と判明し、急遽上海市松江区及び嘉定区の村落に変更し調査を実施した。改革開放下における村落生活の急激な変貌の中で部分的には古い民俗が顕在化し、また部分的には民俗が消滅しつつあることを確認するとともに、次年度における本格的な調査実施について住民および関係機関の理解を得ることができた。 具体的な研究成果としては以下の諸点をあげることができる。第1に、土地制度の改変の個別村落における様相を歴史的に明らかにし、現在経済状況も明確にでき、それとの関連で家族生活の実態を事例によって把握した。第2に、婚姻と産育あるいは葬儀をめぐる儀礼を把握し、そこにおける算命先生とか風水先生と呼ばれる民間宗教者あるいは道士の役割を把握した。第3に、昔話・伝説・民謡などの口承文芸については大都市上海に近いこともあって調査不可能かと予想していたが、予想外に豊な結果を得た。これらを基礎にさらに総合的に調査し、民俗誌としてまとめるのが来年度の課題である。
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