研究課題/領域番号 |
11691051
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 一般 |
研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
杉本 良男 国立民族学博物館, 民族文化研究部, 教授 (60148294)
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研究分担者 |
杉本 星子 京都文教大学, 人間学部, 助教授 (70298743)
小林 勝 長崎純心大学, 人文学部, 専任講師 (20269096)
川島 耕司 国士舘大学, 政経学部一部, 専任講師 (60296811)
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キーワード | キリスト教 / ミッション / 南アジア / インド / スリランカ / モーリシャス / レユニオン / マリア信仰 |
研究概要 |
本年度は、川島をスリランカ、インド・ケーララ州(8-9月)、小林をインド・ケーララ州(2-3月)、杉本(星)をインド・タミルナードゥ州、モーリシャス、レユニオン(7-9月)、杉本(良)をインド・タミルナードゥ州に(7-8月)、それぞれ派遣した。また研究協力者サガヤラージは、おもに杉本(良)とともに、タミルナードゥ州での調査研究を行った。さらに、2月には調査研究の成果をもちよって研究会を行った。 調査研究が行われた地域の南インド系社会の中では、キリスト教のとくにマリア信仰が、その普及に大きな役割をはたしていることがすでに知られている。じっさい、いくつかのマリア教会などをみると、教会の形式、あるいは儀礼の形態などに、ヒンドゥー教の女神信仰との深い関連があることがわかり、同じマリア教会といっても、ヨーロッパのそれとはまたことなって、南インド系社会独自の展開があったことがうかがわれた。逆に、とくにモーリシャス、レユニオンなどでは、ヒンドゥー教の儀礼形態などにキリスト教会の影響も色濃く見られた。 一方、これらの地域におけるヒンドゥー教、仏教を中心にした近代的宗教ナショナリズムの展開にとって、キリスト教ミッショナリーがはたした役割の重要性が、当初予測していたよりもはるかに大きくかつ決定的なものであったことがみてとれた。そして、これらの地域における宗教・政治状況をみるときに、従来以上にキリスト教ミッションとの関係を重視しなければならないとの認識を得た。 したがって、来年度は、主にマリア信仰を中心にした南インド系社会のキリスト教信仰の独自性、そして宗教的ナショナリズムにおけるキリスト教ミッショナリーの役割、の2点にとくに注目して、比較の視点からさらに調査研究を進めていく予定である。そのために、できればヨーロッパ社会との比較のための調査も視野に入れておく必要があるとの認識で一致した。
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