研究課題/領域番号 |
11691054
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研究機関 | (財)中近東文化センター |
研究代表者 |
大津 忠彦 財団法人中近東文化センター, 研究員 (30260144)
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研究分担者 |
古瀬 清秀 広島大学, 文学部, 教授 (70136018)
山内 和也 財団法人中近東文化センター, 学術局, 共同研究員
岡野 智彦 財団法人中近東文化センター, 学術局, 研究員 (40260145)
前杢 英明 広島大学, 教育学部, 助教授 (50222287)
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キーワード | イラン / ギーラーン / セフィードルード / 遺跡踏査 / 鉄器時代 / イスラーム(イスラム) / タッペ(テペ、テル) / キャルーラズ |
研究概要 |
2001年8月27日より9月30日まで、イラン国ギーラーン州々都ラシュトの南約50kmに位置するロスタム・アーバードをベースに、セフィードルード川西岸のほぼ東西幅10km、南北幅7kmの範囲内で、11地区44地点を対象に考古学的遺跡踏査、聴き取りによる民俗調査ならびに地理学的調査を実施した。 遺跡形態の大半を占める古墓の殆どは既に盗掘を被り明確な共伴遺物(副葬品)はない。多くは単純な土壙墓である。古墓周辺に散見する土器、陶器は小片で帰属年代判定が難しいものの、器面の具合から判断して明らかにイラン鉄器時代、青銅器時代に遡るものがある。また、施釉陶器、銀貨などイスラーム時代に下る遺物もある。土層断面に安定した厚い灰層の見られる遺跡があり、地形的にある程度の広さをもつ平坦面はかつての生活空間であったらしい(ドガーミヤーン遺跡など)。古墓以外の遺構として窯(ドガヘ、ポシュテ、ドガーミヤーン各遺跡)、貯水施設(ポシュテ遺跡)、ハマーム(ジューベン遺跡)、「タッペ?」(ジューベン遺跡)など認めたがいずれもイスラーム時代と思われる。なお、これまで殆ど報告事例のない石器資料として敲打器、鞍状挽臼などを採集した(キャルーラズ、ピーリ各遺跡など)。 古代およびイスラーム期の墓域は基本的に同じ場所に営まれている傾向がある。地理学的観察によれば遺跡は概して水の得やすい、地滑りによって形成された山の緩斜面や侵食平坦面の縁に分布するようだ。いまだ不祥な居住遺跡を今後見い出すための対象地と推察される。表採資料の帰属年代特定は、比較しうる編年資料に乏しいため困難である。その意味で、キャルーラズ渓谷中の「タッペ」の層位的発掘調査は必須であり、今後のために地形測量図を作製した。 なお、イラン革命後22年ぶりに再開できた今回の考古学調査の成果は9月30日にテヘラーンでのセミナーにおいてその概略を速報した。
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