研究課題/領域番号 |
11691055
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 一般 |
研究機関 | (財)中近東文化センター |
研究代表者 |
川床 睦夫 財団法人 中近東文化センター, 学術局, 主任研究員 (00260141)
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研究分担者 |
家島 彦一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90014472)
高橋 栄一 早稲田大学, 文学部, 教授 (40063523)
長谷部 楽爾 東京国立博物館, 名誉館員
手塚 直樹 鎌倉考古学研究所, 所長
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キーワード | 聖カテリーナ修道院 / ライソウ / イスラーム化 / モスク / クーファ書体 / ミフラーブ |
研究概要 |
初年度は、ラーヤ遺跡の発掘調査を中心に調査研究を進めた。本年度は、ラーヤ遺跡の城塞部の発掘調査を行った。主要発掘区は海に面した正門区と正門を入ってすぐ右手に広がる第一ブロックに設定した。 その結果、塔門をなす正門が二重の城門で守られていたことが明らかとなった。また、外側の城門部では敷居石が失われていたが、内側の城門部では軸受けが掘られた玄武岩製の敷居石が残されていた。さらに、外側の城門は上下開閉式であり、内側は前後開閉式であることも確証された。 そして、最大の発見は第一ブロックでモスクが発見されたことである。この城塞は、6世紀に建設されたビザンティン様式の城塞である。84.5x84.5メートルの城塞は各コーナーと各辺の中央部には約8.5メートル四方の塔がある。これは、当然、キリスト教徒によって建設された城塞であるが、モスクの発見が示すように、ある時、イスラーム教徒によって占領されたか、あるいはイスラーム教徒と共有したものである。 モスクは約13.5、13.5、13、12.5メートルの歪んだ四辺形である。キブラ(メッカの方向)面を成す南東壁は元々のプランを変形して作られている。この壁面中央に、ミフラーブ(キブラを示す壁龕)が発見された。 このモスクは、小さなミフラーブ、玉砂利を敷き詰めた床面、古いタイプのクーファ書体のアラビア文字による壁文字、屋根材の発見状況、諸遺物の年代などから、シナイ半島最古のモスクであろうと考えられる。 このモスクの発見、今後の精査と研究は、キリスト教徒の聖地であるシナイ半島におけるイスラームとキリスト教の関係を考察する上で、極めて重要な資料を提供することとなるであろう。
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