研究課題/領域番号 |
11691055
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研究機関 | (財)中近東文化センター |
研究代表者 |
川床 睦夫 財団法人 中近東文化センター, 学術局, 主任研究員 (00260141)
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研究分担者 |
高橋 洋子 (真道 洋子) 財団法人 中近東文化センター, 学術局, 研究員 (50260146)
家島 彦一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90014472)
高橋 栄一 早稲田大学, 文学部, 教授 (40063523)
堀内 正樹 広島市立大学, 国際学部, 教授 (10209281)
西本 真一 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (10198517)
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キーワード | ラーヤ / トゥール / 岩壁碑文 / セル / スエズ港 / 海のネットワーク / 陸のネットワーク / ライソウ |
研究概要 |
2000年9月と2001年2月にエジプト・シナイ半島南西部のトゥール市の北方に位置するワーディ・アットゥール修道院遺跡(トゥール市の北5km)、アブー・スワイラ山の散住型修道院遺跡(トゥール市の北北西12km)、ナークース山岩壁碑文群(トゥール市の北北西15km)を調査した。 この結果、アブー・スワイラ山で、占領時代にイスラエルが発見した4つの教会・セル(修道士用独房)群に加えて、100以上の砂岩の山に掘り込まれた岩窟セルが発見された。この事実は、「シナイの沙漠の40人殉教」伝説に見られるように、多数の修道士、隠修士がこの地域に居住していたことを実証し、この地がキリスト教初期修道制の一中心地として有名な「ライソウ」であった可能性を高めている。同時に、ユスティニアヌス帝によって寄進された堅固な保護壁で囲まれた「ライソウの聖ヨハネ修道院」がワーディ・アットゥール修道院遺跡であることを示していると考えられる。 また、ナークース山ではクーファ書体のアラビア語碑文を中心とする1680点以上の岩壁碑文、グラフィッティを発見し、登録(砂に埋もれている碑文は未登録である)した。ムスリム巡礼者、キリスト教巡礼者たちによる祈祷文の集合は、新たなルートの存在を立証し、新しい港(浦)の存在を暗示している。 これらの発見は「海のネットワーク」と「陸のネットワーク」の接点が港という点ではなく、地域という面的な広がりを持つこと示している。2001年度はこの視点に立って、2つのネットワークのかかわりを調査研究し、地域史と世界史の動態的研究をすすめる。
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