研究課題/領域番号 |
11691055
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研究機関 | (財)中近東文化センター |
研究代表者 |
川床 睦夫 財団法人中近東文化センター, 学術局, 主任研究員 (00260141)
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研究分担者 |
真道 洋子 財団法人中近東文化センター, 学術局, 研究員 (50260146)
家島 彦一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90014472)
高橋 栄一 早稲田大学, 文学部, 教授 (40063523)
堀内 正樹 広島市立大学, 国際学部, 教授 (10209281)
西本 真一 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (10198517)
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キーワード | ラーヤ / トゥール / 岩壁碑文 / セル / スエズ港 / 海のネットワーク / 陸のネットワーク / ライソウ |
研究概要 |
最終年度である平成13年度は7月から9月にかけて、ラーヤ遺跡の発掘調査・保存作業、ワーディ・アットゥール修道院遺跡内主教会ネイヴ床下の埋葬人骨の形質人類学的調査、ナークース山周辺遺跡分布調査、シナイ半島南部の岩壁碑文調査(9月と12月)、岩壁碑文研究を実施した。 この結果、シナイ山(聖カテリーナ)修道院を中心にワーディ・フィーラーン、ワーデイ・ムカッタブ、ワーデイ・マガーラ、ワーデイ・イスラー、ワーディ・ヘブラーン、ワーディ・アラバ(ヨルダンに同名のワーディがある)などのワーディ交通路網が存在し、シナイ半島の東西南北を結んでいたことが明らかとなった。この交通路網の端末部が複数の筋としてラーヤ・トゥール地域の海岸部に延びている。その複数の点が「海のネットワーク」との接点を構成していたのである。陸の側の多様性、すなわち「面」としての海との接点が気象条件、時代、目的を超えて渡来する船を常に受け入れることを可能にしていたのである。ナークース山の1700点に及ぶ碑文群(クーファ書体アラビア語、ギリシア語、コプト語、ヨーロッパ諸語、ナバテア語)はラーヤ・トゥール地域と外部世界との関わりの歴史を語る極めて重要な資料である。 また、平成11年度にラーヤ遺跡城塞内で発見されたモスク遺構出土の数千点に及ぶ壁仕上面の破片の接合作業を実施し、壁に装飾クーファ書体アラビア文字と植物などの壁画が書かれていたことを明らかにした。
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