研究課題/領域番号 |
11691055
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
広領域
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研究機関 | (財)中近東文化センター |
研究代表者 |
川床 睦夫 財団法人中近東文化センター, 学術局, 主任研究員 (00260141)
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研究分担者 |
西本 真一 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (10198517)
真道 洋子 財団法人中近東文化センター, 学術局, 研究員 (50260146)
家島 彦一 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (90014472)
手塚 直樹 青山学院大学, 文学部, 教授 (80337857)
堀内 正樹 広島市立大学, 国際学部, 教授 (10209281)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 港市 / 修道院 / ベドウイン / 東西海上交流 / 陸のネットワーク / 岩壁碑文 / ラーヤ / コーヒー・タバコ |
研究概要 |
ラーヤ遺跡およびワーディ・アットゥール修道院遺跡の発掘調査を3回実施した。この結果、ラーヤ遺跡城塞部で9世紀頃には存在した古い様式のモスクを発見した。モスク遺構にはミフラーブの上部が復元可能な状態で埋まっていた。この円周部にはロゼット文などが描かれていた。このモスクの発見は、ファーティマ朝時代と考えられていたシナイ半島南部のイスラーム化の時期を2世紀近く早める証拠となるであろう。 2000年度に発見したエジプト最大級のナークース山岩壁碑文群では、約1700点の碑文中に930点のアラビア語碑文が含まれていた。この碑文群の解読・研究は実際に旅した人々の生の記録であること、人々の出身地1移動した年などを明らかにし、岩壁碑文がルート研究の知られざる史料であることを証明した。また、碑文群の存在が、アブー・カブス浜とナークース浦に今まで知られていなかった港としての機能を付加することとなった。この結果、聖カタリーナ修道院を要のひとつとする南シナイの「陸のネットワーク」はラーヤあるいはトゥールの港をもって「海のネットワーク」と点的に接するのではなく、約30kmの幅を持つ面として接していることが明らかとなった。 今まで文献史料の欠落を理由に研究されていなかうたシナイ半島南部のルート研究は、聖者廟研究、岩壁碑文研究によって実証的に明らかにされつつある。 発掘した上記2遺跡およびトゥール・キーラーニー遺跡からは多種多様な出土品が見られる。トゥール文書、ラーディー家文書、ラーヤ・パピルス文書、中国陶磁器、イスラーム陶器、ラスター彩陶器、ガラス器、金属製品、ステアタイト(凍石)製品、土製箱型香炉、カリフ・アルマァムーン時代の金貨など、中近東地域、地中海世界、インド洋世界、東シナ海世界とのかかわりを示す資料が蓄積されている。ラーヤ・トゥール地域の地域史が明らかになりつつあるのみならず、同地域と外部世界との関係史が解明されつつある。
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