会社法の施行および改正問題について、田中は10月に北京で関係機関に対するヒアリング調査をおこない、国有企業の株式会社への改組状況について、田嶋は12月に北京および山東省諸城市で実態調査をおこなった。これらの問題について、1月に袁研究員を東京に招き、研究会を開催して意見交換をおこなった。 分析する問題の中心は、会社法に基づいて株式会社に改組された国有企業の実態を調査し、企業資産の所有構造から、コーポレート・ガバナンスが現実にはどのように機能しているかを、明らかにすることである。所有構造の多元化が進まず、基本的に国有企業としての性格に大きな変化がなければ、会社法に規定されたコーポレート・ガバナンスは、有効に機能し得ないからである。 調査の結果、政府機関の指導によって改組された全国の主要な国有企業は、会社化された後も基本的には国有企業のステータスを維持していることが判明した。約70%の会社が株式の半数以上を国有資産保有機関または国有企業によって所有、管理されており、残りの部分も多くの場合は30%以上が国によって直接、間接に支配されている。99年10月に共産党中央は、所有構造の多元化を推進する方針を打ち出したが、今後の変化を注意深くフォローしていく。 来年度は、コーポレート・ガバナンスの実態を調査するため、できるだけ多くの企業を対象に、可能であれば調査票の配付などの方法によって、企業の所有構造と主要な役員の構成などについて調査を進めていく計画である。
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