1997年から中国の地域戦略策定過程に焦点を絞り、政府の意思決定メカニズムについて考察した。1997年度は、国、山東省、済南市の第九次五カ年計画を事例に地域総合計画策定過程の実態を明らかにした。今回の研究報告は、1999年度山東省東営市で行った黄河三角州総合開発に関する現地調査を通じて市から国への垂直的調査過程、2000年度泰安市建設銀行に対するインタビュー調査を通じて市と市および計画委員会と銀行の間の水平的調査を考察したものである。 市から国への垂直的調整の目標は全国人大の審議を通じて国家五ヵ年計画に絞込み、国家大規模地域開発への昇格である。その調整過程は5段階によって行われる。また、市から国への垂直的調整機能の決め手は地方と国の共有できる開発目標の形成である。計画実施の自主的管理によって地方の計画能力に差異をもたらしている。それを縮小するために水平調整を行っている。計画委員会は地方財政を用いて公共政策、公共事業の計画策定と実施、プロジェクトの許認可を担い、銀行は地域住民と企業の貯蓄を用いて国有企業、民間企業、個人の各種プロジェクトに対する計画審理と投資を担う。
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