研究課題/領域番号 |
11691075
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大田 伊久雄 京都大学, 農学研究科, 助手 (00252495)
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研究分担者 |
山田 良治 和歌山大学, 経済学部, 教授 (00135831)
依光 良三 高知大学, 農学部, 教授 (00117029)
村嶌 由直 新潟大学, 農学部, 教授 (20012073)
足立 基浩 和歌山大学, 経済学部, 助教授 (30283948)
秋津 元輝 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (00202531)
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キーワード | プライバタイゼーション / 森林管理 / 旧東欧諸国 / 国有林 / 私有林 / 環境政策 |
研究概要 |
2年目の本年も、初年度の調査を継続する形で二つの班に分け、資本主義への移行過程で森林管理のプライバタイゼーションを模索する旧東欧諸国の現状調査を行う班(村嶌・秋津・寺下・大田)と、国有林プライバタイゼーションの背景と実施の政策的経緯に関して英国を中心に調査を進める班(山田・足立)とで平行して行った。 東欧班は、チェコ・ポーランド・旧東ドイツにおいて調査した。各国とも経済の民営化は積極的に進めているが、社会主義政権下ではほとんどが国有であった森林の管理問題へのアプローチには大きな差が見られた。チェコでは戦前の林地所有者への土地返還が進められているが、ポーランドでは土地の返還はせず国有林は一括して当局の管理下に置かれることで森林の健全性を保つという政策が採られている。また、持続可能な森林管理と環境への配慮という世界的潮流には敏感で、チェコ・ポーランドの2国は近い将来のEUへの参加をにらんだ法的・制度的整備が政策目標となっている。 英国班は、サッチャー政権の新自由主義政策によって国有林の15%が民営化された政策的背景についてさらに詳しく調査を行い、ブレア政権に移行後のプライバタイゼーション政策の部分的見直しについての検討を深めた。英国の林業を含む木材産業は全体的には拡大傾向にあるが、森林認証が進む状況のなかで森林管理の私有化は否定的な見方をされる傾向があり、この問題が環境と経済の相克を反映する状況になっている点などが発見された。さらに、民営化が木材産業に与えた経済効果を計量経済学を用いたモデルによって解明しようと試みている。
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