研究課題/領域番号 |
11691075
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
林学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大田 伊久雄 京都大学, 農学研究科, 助手 (00252495)
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研究分担者 |
秋津 元輝 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (00202531)
山田 良治 和歌山大学, 経済学部, 教授 (00135831)
村嶌 由直 鳥取環境大学, 環境学部, 教授 (20012073)
足立 基浩 和歌山大学, 経済学部, 助教授 (30283948)
寺下 太郎 愛媛大学, 農学部, 助教授 (90314971)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | プライバタイゼーション / 森林管理 / 東欧 / 国有林 / 私有林 / 環境政策 |
研究概要 |
3年間の学術調査において、研究代表者ならびに分担者は以下の国々を研究対象とした:イギリス・ポーランド・チェコ・スロバキア・ドイツ・ハンガリー・ブルガリア・スロベニア。イギリスにおいては、1979年の保守党政権以来変貌を遂げた森林政策の軌跡を追った。新自由主義経済政策の一環として縮小された国有林と、その一方でプライバタイゼーションの波を受けた民間部門を比較し、エージェンシー化の検証を行った。森林委員会から分離独立したフォレスト・エンタープライズは100万haの土地管理を行い、木材生産において黒字経営を達成しつつ森林レクリエーション機会の提供などにも成果を上げている。さらに、計量経済学的な分析手法を用いてイギリスの造林補助金制度の効果分析を行った。その結果、補助金制度は広葉樹林の造成に関して有意な影響力を発揮したことが明らかとなった。 ポーランドほかの旧東欧諸国においては、1989年のソ連邦崩壊に伴う「東欧革命」以降私有化への道が開かれた国有林の管理問題を中心に調査分析を行った。国によってプライバタイゼーションの段階は異なるものの、国内の森林面積に占める国有林の割合は着実に減少している。この事実は、各国経済政策が自由主義経済を急いで導入していることと深く関わっている。すでにスロバキアやスロベニアでは国有林率は4割程度にまで減少しており、森林所有の多様化が進んでいる。また、EU加盟を睨んだ国内森林法の改正も盛んで、調査対象とした各国のほぼ全てにおいて1990年代に新しい森林法体系が成立している。また、森林状態の健全性という点では、研究開始前の予想に反して良好な状態に保たれていることが判明した。特に国有林率が高いまま保たれているポーランドでは、国有林組織は民営化されたものの社会主義時代からの管理体制が良く継続されており、森林管理は行き届いている。しかし一方で、ブルガリアでは経済低迷の影響を受けて森林管理に不適切な部分も見られ、今後の好転が望まれる。 対象とする国が多く、時間的・予算的制約の中で必ずしも十分な調査を成し得たとはいえないところもあるが、これまで我が国の林学会ではほとんど知られていなかった旧東欧諸国の森林・林業の姿を知り得たことは大きな成果であった。
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