研究課題/領域番号 |
11691081
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
本台 進 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (70138569)
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研究分担者 |
松永 宣明 神戸大学, 国際協力研究科, 教授 (80127399)
高橋 信正 神戸大学, 自然科学研究科, 教授 (00294249)
新谷 正彦 西南学院大学, 経済学部, 教授 (70069706)
高田 理 神戸大学, 農学部, 助教授 (90171446)
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キーワード | インドネシアの通貨危機 / 農業からの労働力移動 / 余剰労働力 / 資本の過剰投資 / スカブミの産業連関表 / 非農業の労働力需要 / 小企業の資本生産性 / 資本と労働の代替弾力性 |
研究概要 |
インドネシアの非農業は1980年代後半から拡大してきたため、農業からの労働力移動が増大し、農業労働力数は1991年にピークに達し、その後減少を始めた。しかし通貨危機が始まった97年以降非農業生産が縮小し、雇用も縮小したため、まだ農業での余剰労働力解消には至っていない。こうした状況は個々の農家レベルでみても同様であり、農業部門全体で見た状況と一致している。産業連関表を作成してみると、都市部以外では農業による雇用が50%以上であり、農村における非農業部門の雇用が小さく、過剰就業を解決するためには、特に農村における非農業就業機会の拡大が重要である。 製造業企業を理論的に考察すると、企業規模別資本生産性は労働集約的生産を行っている小規模で高くなる。しかしインドネシア企業においては逆であり、特に金属機械業種でこうした現象が強く現れる。このようになる要因として考えられることは、小規模において資本の過剰投資がされている可能性がある。小規模と大規模に区別して、それぞれの資本と労働の代替弾力性を計測すると、前者の代替弾力性が著しく小さく、小規模において資本が有効に利用されていないことが解る。特にこうした現象は都市より農村に位置する企業において強く現れる。この結果より推論すると、農村に存在する小規模企業において資本が有効に利用されていない。こうしたことが非農業での雇用が拡大せず、余剰労働力を十分に吸収できなかった一つの要因である。 また通貨危機により非農業での雇用が縮小すると、労働力が農業へ逆流し、その雇用シェアが約5%も増加する現象が生じた。これより、まだ労働力が農業と非農業間を弾力的に移動していると考えられる。したがって、小企業での資本生産性が上昇すれば、労働力は急速に非農業へと移動するであろうと考えられる。
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