研究課題/領域番号 |
11691088
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 一般 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
丸山 孝一 九州大学, 大学院・人間環境学研究科, 教授 (80037035)
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研究分担者 |
西原 明史 安田女子大学, 文学部, 講師 (60274411)
坂元 一光 九州大学, 人間環境学研究科, 助教授 (20150386)
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キーワード | アイデンティティ / イスラム文化 / イスラム原理主義 / 宗教復興運動 / 通過儀礼 / 親族関係 / 衣禅派 / 神秘派 |
研究概要 |
本研究は国家と民族の間あるいは民族相互間における軋轢の解決が21世紀における最重大課題のひとつであるとの認識のもとに始められ、特に中国新疆における少数民族を事例として取り上げた。本年度、同地の哈密地区その他において現地調査を実施したが、維吾爾族の一部による宗教活動が部分的に厳しく制限されている実態を観察し、これによって憲法でいう信教の自由が限界にあることを現実に理解することが出来た。 本年度は新疆師範大学地木拉堤教授および中央民族大学楊聖敏教授らによる示唆を得て、現地調査及び文献研究を実施することができた。来年度も引き続き両教授の強力を得ることになっている。 他方、新疆維吾爾自治区におけるシャマニズムの現地調査には大きな限界があることが判明した。宗教活動、とくにシャマニズム的な活動の一部については、折からの法輪功に対する政府の禁止令の影響で、厳しい制限が課されており、この点に関しては来年度の調査方法に修正ないし変更をしなければならないことを認識した。 新疆維吾爾自治区における民族文化の多面性については、さらに認識を新たにした。たとえば、家族制度において、父系的出自の中で、孫のひとりを子にする慣習がある。これはイエの持続性という日本的発想でなく、高齢の祖父母が「父母」として孫を養育するもので、個人を単位とする家族周期のあり方として注目したい。来年度も引き続き実証的調査を行う予定である。
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