研究分担者 |
尾崎 統 統計数理研究所, 予測制御系, 教授 (00000208)
加藤 隆 森林総合研究所, 林業経営管理部, 科長
吉本 敦 統計数理研究所, 調査実験解析研究系, 助教授 (10264350)
庄司 功 筑波大学, 社会工学系, 講師 (20282329)
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研究概要 |
今年度は特に木材消費国である中国、インドと対日木材製品輸出国であるオーストリア、ドイツを対象に調査を行った。その主な成果を紹介すれば以下のようになる。 1)潜在的に膨大な需要を持つ中国にあって、華東地区では20〜25m^3の成長量を有するアメリカ黒ポプラの品種改良に成功し、農業との複合経営、道路や川沿い等に大量の植林が行われ、暴風、防砂林や農産物保護林のみならず、合板用の原料として利用されるなど、農家の収入増加に貢献すると同時に-大木材産業として急激な発展を示している。即ち、10年前はポプラでは無収入であったものが、ポプラの農地周辺の植林により、農作物の収量が全体で12%増加したのみならず、植林後10年で直径30cmに成長したポプラの販売収入は農家総収入の10〜25%を占めるに至っている。しかもポプラを販売した資金を元手に農家が個別で、あるいは親族等グループで合板用単板や芯材加工をこの地域至る所で行っている。ポプラは"材質の白さ"を生かして合板のみならず、MDF、パーティクルボード等の加工利用も行われている。インドの北部デューラドン周辺においても同様にポプラと農業の複合経営が展開されており、木材大消費国である両国のこれらポプラ資源の造成と関連木材産業の新興は今後の需給に少なからぬ影響を及ぼすと思われる。 2)北欧と並んで、対日輸出の増加が顕著なオーストリアの造林、伐出、輸送経費をみると、それぞれ21万円/m^3、2,240円/m^3と日本では格安の宮崎の事例で153万円/ha、伐出経費5,738円/m^3と比較しても極めてやすい。また、輸送費はオーストリアからはイタリア経由で日本まで約5,000円/m^3である。これに対し宮崎から東京までの輸送費は15年前10,000円/m^3であったものが現在はその約半分になったとはいえオーストリアからの費用とほぼ同じ5,000円/m^3である。 3)昨今の欧州における木材流通の変化として、ラトビア、エストニア、スロバキア、ハンガリー等の中・東欧諸国から高い加工技術を持つオーストリア、ドイツ、フィンランド等へかなりの量の木材が供給され、これら欧州諸国からは良質の加工製品がわが国へ入ってきている。
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