研究課題/領域番号 |
11691093
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
小浜 裕久 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (40201488)
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研究分担者 |
菱田 雅晴 静岡県立大学, 国際関係学部, 教授
立山 良司 防衛大学校, 社会科学教室, 教授
木村 修三 姫路獨協大学, 法学部, 教授 (50153193)
宮田 律 静岡県立大学, 国際関係学部, 助教授 (20200181)
吉川 元 神戸大学, 法学部, 教授 (50153143)
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キーワード | FSS諸国 / エネルギー安全保障 / イスラーム原理主義 / OSCE / 民主化 / 経済の民営化 / カスピ海 / 環境問題 |
研究概要 |
平成12年度の研究では、訪問先の研究者と意見交換を行い、また学際的な研究の特色を活かせるよう、研究会を催したり、また電子メールの交換を通じて研究分担者相互でFSS諸国をめぐる問題を総合的、多角的に検討する作業に入った。 欧米や日本のFSS諸国に関する主要な戦略目標には、これら諸国がその独立や安定を確実にすることによって、エネルギー安全保障を高めることがある。また、反米を唱える「イスラーム原理主義」や、その極端な形態であるイスラーム過激派の影響力がこれら地域に浸透することを防止することは、特に米国の地域政策の主眼となっている。他方、ヨーロッパ諸国にとって、OSCEのFSS諸国に対する民主化支援に見られたように、FSS諸国の平和や安定は、自らの安全保障に重大な影響を与える「地中海圏」として強く意識されるようになった。しかし、これらの欧米諸国の目標は、アゼルバイジャンやグルジアに見られたように、独立がロシアの介入政策によって脅かされたり、また経済の民営化も一部の政府高官や特定のファミリーのために行われたに過ぎず、途方もない貧富の格差を招くなど、円滑に進行していない。さらに、FSS諸国はグルジアとキルギスを除いては民主化が進展したとはいえず、FSS諸国の戦略について欧米諸国が、様々なジレンマに陥っていることは間違いない。また、カスピ海の法的地位についても、FSS諸国はロシアとイランの見解の相違から最終的な合意に至っていないし、さらに過度の潅漑に伴うアラル海の縮小化など深刻な環境問題もこれら諸国には存在する。 本研究では、こうして得られたFSS諸国の現状の分析から日本がどのような外交政策をこれら諸国についてとるべきか、最終年度にさらに研究の発展を図るつもりである。
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