研究課題/領域番号 |
11691096
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
田嶋 淳子 淑徳大学, 社会学部, 教授 (20255152)
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研究分担者 |
GLENDA Roberts 早稲田大学, アジア太平洋研究センター, 助教授
かく 燕書 明治大学, 経営学部, 助教授 (80287888)
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キーワード | 中国 / 女性 / 移住労働者 / 日系企業 / 台湾系企業 / 中間管理職 / 社会調査 / 電子産業 |
研究概要 |
今年度の研究計画にもとづき、以下の項目について調査研究をおこなった。 1.昨年度に実施した調査の分析作業を行った。調査対象のA社は創業以来18年の歴史をもつ。質問紙調査により、18年来の女性出稼ぎ労働者に関する移動と定着状況が明らかとなった。当該企業における女性出稼ぎ労働者の特徴は80年代の採用者の中でも中間管理職として定着し,都市戸籍を獲得した女性従業員層にある。昨年同様の一般工員向けおよび新たに中間管理職対象の調査を実施し、管理職120人、一般工員458人の調査結果を得た。従業員構成において、技術、管理職部門の一部を除き、一般工員から中間管理職への女性従業員の抜擢・選別が進んでいる。また、採用に関しては、同郷ネットワークの影響が若干だが読みとれる。今年度は質問紙調査と併せ、最も新しいB工場における一般労働者から工場長までのインタビュー調査を実施した。 2.A社との比較のため、B工場と同一製品を製造する恵州市の日系電機メーカーにおいて、同様の調査を実施した。当該企業は投資期間が比較的短く1500人規模の工場である。ここでは従業員477人、管理職150人の調査結果を得た。インタビューにおいて明らかとなったのは、投資期間が短く、中間管理職層はほとんどが外部からの採用であり、その比率は極めて低いこと、この3年来従業員の移動はあまりみられず、一般工員には一定の熟練が形成される傾向にあることである。 3.B社関連で、同社ブランド製品を製造する東莞市にある台湾系電機工場を見学し、経理担当役員へのインタビューを行った。ここでは、従業員の定着率が低く、常に一定数の新たな流入を繰り返している点で前述の日系企業との生産管理に対する認識の違いが示された。 4.同じ東莞市だが、A社関連の台湾系企業を参観、経営者および技術担当日本人管理者へのインタビューおよび女性出稼ぎ労働者177人および中間管理職50人への質問紙調査を実施した。いずれの調査結果もデータ・ベース化作業および分析は来年度の課題である。 以上のとおり、今年度は上記3カ所におけるインタビューおよび質問紙調査から1000名を越える調査結果を得ている。これにより、日系および台湾系企業での女性出稼ぎ労働者の就労と生活に関する詳細かつ比較可能なデータが得られたものと考えている。
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