研究課題/領域番号 |
11691096
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
田嶋 淳子 淑徳大学, 社会学部, 教授 (20255152)
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研究分担者 |
GLENDA Roberts 淑徳大学, 社会学部, 教授 (40308242)
かく 燕書 明治大学, 経営学部, 助教授 (80287888)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 中国 / ジェンダー / 移住労働者 / 日系企業 / 台湾系企業 / 中間管理職 / フィールドワーク / 電子産業 |
研究概要 |
本研究の目的は中国沿海地域における女性出稼ぎ労働者の就労と生活の実態を、経営主体の異なる企業間において比較することである。本研究では特に広東省の電子産業関連企業3社を取り上げ、女性出稼ぎ労働者の就労と生活実態の比較・検討を試みた。その結果以下のことが明らかとなった。 1.経営管理面からみると、深〓所在のA社は安定志向型経営で日本的な要素を多く持ち、社内の分層化と中間管理職の安定的な確保が可能な体制を作り、全社的な安定成長を実現した。恵州市にあるB社は変化追求型経営で人材の現地化を柱に、現地の文化と習慣に合う人心管理方式を用い、女子従業員の生産性向上を達成している。東莞市にあるC社は外延拡張型で「多国籍」の人的資源を活用し、合弁による委託生産で税制面での優遇策をコスト削減に活かしている。 2.女性出稼ぎ労働者の就労面で、A社は三交代および常日勤の勤務形態を中心とし、B社、C社は残業を前提とする二交代制である。それぞれの賃金は中央値比較で各200元程度の差が存在する。このため、給与面および能力が発揮できている程度はそれぞれの仕事に対する満足度に有意な差をもたらしている。生活面においても、残業時間が自由時間の長短を左右し、余暇における新しい知識の習得や出稼ぎ生活全般への評価に各社間で若干の相違がみられる。ただし、全体として、女性出稼ぎ労働者は出稼ぎに肯定的な評価を示している。 3.ジェンダーの視点からこれらの3社を比較したところ、各社における男女不平等観は賃金と報奨金の面でB社とその他2社との間に有意な差が示されたが、それ以外の面での差は必ずしも有意ではなかった。ただし、男女間の比較が可能なA社の場合、職種上の性別による差は有意であった。他の2社ではライン工に女性のみが就業しており、そのこと自体がすでに性別による分業を示すものといえよう。
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