平成11年度と12年度の二年間にわたって研究補助金を受け、研究代表者ならびに研究分担者二名が、共同研究を行った。初年度は7月から9月にかけて三名でインドネシアへ赴いてフィールド調査を実施し、二年目は同じ時期に倉沢と内藤の二名で実施した。いずれも調査地として選んだのは、ジャワ島のジョクジャカルタ市郊外の農村、ウォノレロ村である。人口約4000人のこの村の中から、互いに文化的、経済的背景の異なる三つの地区(dusun)を選び、さらに各地区からひとつずつの隣組(RT)を選んで全戸調査を行った。 研究代表者の倉沢は、スハルト政権が、「安定」と「開発」という課題を実施するために、村落の住民を動員するためのひとつのメカニズムとして活用した官製の住民組織に焦点をあて、それらの定期的な会合を観察し、そこにおいて伝達される情報を分析した。 研究分担者の小池誠は、マス・メディアとりわけ、テレビが情報伝達という点でどのような影響力を持っているかを、調査票を使ったアンケート調査を行い、その成果を住民の年齢や学歴との関係で分析した。 同じく内藤耕は、人々が日常生活の中でどのくらい空間移動を行っているのか、そしてそれがどの程度彼らの情報人手に影響を与えているのかを、住民一人一人の一週間の行動を詳しく追うことによって分析した。 収集したデータの整理は膨大な量に及びいまだ進行中であるが、完了し次第、成果をまとめ、単行本として刊行予定である。
|