研究概要 |
本研究では、パリ市のZ.A.C.(Zone d'Amenagement Concerte:協議整備地区)の中でも、アーキテクト・コーディネータ(architecte coordinateur)が参画している次の7地域<Z.A.C.-Bercy,Z.A.C.-Reuilly,Z.A.C.-Seine Rive Gauche(Tolbiac,Massena,Austerlitz),Z.A.C.-Citroen,Z.A.C.-Chalon,Z.A.C.-Duplieix,Z.A.C.-des Amandiers>を取り上げ調査を行っている。Z.A.C.は、20世紀後半に同じくパリ市内ならびにパリ近郊で展開されたグラン・プロジェ(Grand Projet)と並ぶ大規模な都市型再開発である。グラン・プロジェが国家規模でのモニュメンタルな計画であるのに対し、Z.A.C.の方は、パリ市内の都市型集合住宅と公共空間の整備に主眼がおかれている。開発される敷地はパリ市内の鉄道関係の敷地や工場跡地であったり、旧市街の一部であったりと、様々であるが、いずれもパリ市内の既存の都市組織(tissu urbain)に新しい都市景観を創造するという重要かつ今日的な課題を含んでいるという点では共通している。Z.A.C.は、パリ市都市計画局(l'APUR)の主導でP.A.Z.(地区整備プラン)が策定され、次いでアーキテクト・コーディネータが<Developpement duP.A.Z.>を作成し、P.A.Z.をより空間的な次元へと展開する。この際に、既存の都市組織や地区ごとの歴史性や場所性がどのように把握されるか、さらにはそれがどのように新しい都市景観へと昇華していくのかその過程を明らかにすることが本研究での問題意識であり、今後の課題でもある。
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