研究概要 |
パリ市の都市再開発であるZAC(協議整備区域)の内、アーキテクト・コーディネータが参画する次の8地域(10地区)に関して調査研究を進め、各地域の都市組織や歴史的コンテクストがマスタープランにおいていかに考慮され計画されているかを考察した。対象地域ZAC : Paris Rive Gauche (Tolbiac, Massena, Austerlitz), Bercy, Reuilly(+Promenade Plantee), Citroen, Chalon, Amandiers, Porte d'Asnier, Dupleix.一次資料として、各地域に関するPAZ(地区整備プラン)、その規約(reglement de PAZ)、その展開(Developpement du PAZ)の三点を収集し分析を試みた。また、PAZを作成したパリ都市計画局(APUR)の各建築家ならびにアーキテクト・コーディネータや各建築家へのインタビューを実施し、歴史都市パリの再開発計画において、既存の都市組織をいかに把握し、どのように新しい都市空間の創造を目指したのか、またPAZなど諸制約下での設計上の自由度に関して聞取調査をした。加えて、当該海外調査の主要作業として、ZAC開発以前から現在までの都市空間の変遷を現地調査で記録し、計画と実施(パリ左岸計画のように現在も開発中の地区があり、今後も継続調査する計画である)との検証を行った。PAZ、reglement de PAZ、Developpement du PAZの三点が一式となり計画された結果、特に、地区内公共空間としての緑地整備、建物の正面性、既存インフラストラクチャーとの連結、周辺地区間の空間的断絶の回復、「開かれた街区」など伝統的空間構成との差異化など各地区毎の既存都市組織との関係性が計画へ細かく反映されていることが把握された。
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