研究課題/領域番号 |
11691116
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
固体地球物理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
松井 孝典 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (80114643)
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研究分担者 |
田近 英一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70251410)
大路 樹生 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (50160487)
多田 隆治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (30143366)
豊田 和弘 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (10207649)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 白亜紀 / 第三紀境界層 / キューバ / 津波堆積層 |
研究概要 |
K/T境界での陽石衝突の様式、規模、クレーターの形成プロセスを詳しく知るために、クレーターの東近傍に位置し、衝突当時、深海底にあった地層が地表に露出しているキューバにおいて調査を行い、以下の事を明らかにした。 1)キューバでは、隕石衝突直後に古カリブ海の深海底に堆積した層厚700mに及ぶK/T境界層がその後の構造運動により隆起し、3つの地質構造区に分かれて分布している。こうしたK/T境界層は、一般に下部礫岩ユニットおよび上部石灰質砂岩シルト岩ユニットからなる。 2)下部ユニット下は浅海性石灰質プラットフォーム起源の礫を主体とし、発泡ガラス片や衝撃変成石英を含んでおり、衝突衝撃地震により引き起こされた海底地すべり堆積物と考えられる。 3)上部ユニットは、遠洋性微化石を多く含み、塊状で上方細粒化を示す事から、ホモジェナイトと呼ばれる深海性津波堆積物と考えられる。衝撃変成石英の存在は、津波が陽石衝突に伴って起こった事を示す。 4)上部ユニットが厚く発達する地域では、その基底部は下部ユニットから漸移するが、薄い地域では、侵食面を以って下部ユニットと接する。また、両者の構成粒子が著しく異なる事から、上部ユニットを堆積させた津波は下部ユニットを堆積させた海底地すべりとは別の原因によると考えられる。 5)キューバ島西部モンカダからは、厚さ2mのK/T境界層が発見され、最上部にはIr濃集層が発見された。K/T境界層は平行葉理や斜交葉理をもち、衝突クレーターへ向かう方向とその逆の2方向の流れを示す事から、津波の繰り返しを示すと考えられる。 6)本調査によって、古カリブ海沿岸では衝突直後に大規模地すべりが起こり、引き続いて大規模な津波が繰り返した事が明らかになった。津波は深海底に堆積した泥質堆積物を巻き上げて懸濁海水をつくり、そこから数週間かけてホモジェナイトが堆積した。その間にも津波の余波が繰り返した。
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