研究課題/領域番号 |
11691125
|
研究種目 |
基盤研究(A)
|
応募区分 | 一般 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
WALLIS SIMON 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (30263065)
|
研究分担者 |
鈴木 和博 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90111624)
榎並 正樹 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20168793)
平島 崇男 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (90181156)
廣井 美邦 千葉大学, 理学部, 教授 (40019427)
加藤 丈典 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90293688)
|
キーワード | 大陸衝突 / 超高圧変成作用 / 大別山-蘇魯帯 / 上昇速度 / 岩石の部分溶融 |
研究概要 |
大陸衝突帯深部におけるテクトニクプロセスの究明に向けて、今年度次の成果を上げた。(1)2回にわたって計4週間、約2億年前に中国中部で形成した大別山―蘇魯衝突帯における野外調査を行った。100kmの深さまで潜り込み後に再び地表まで上昇したエクロジャイトブロックと周囲の片麻岩との関係を記載し、これらの超高圧変成岩の特徴を室内実験で研究するために数百個の試料を採集した。同調査で判明した一番重要な点は、蘇魯帯北部と南部とは大いに異なることにある。北部では、エクロジャイトブロックの大きさは数m以下であり、片麻岩の変形と同時のマグマ貫入が認められる。一方、南部では、同種のブロックは数kmのものもあり、しかもマグマ貫入時は片麻岩の変形終了後である。高温の蘇魯変成作用のもと、片麻岩は非常に流動的になり、約100m以上の高密なエクロジャイトブロックが片麻岩中を沈降するはずである。この場合、ブロックが上昇するには、ブロックを囲む片麻岩が沈降速度を上回る速度で上昇しなければならない。この議論からブロックのサイズ分布は片麻岩の上昇速度への制限にもなる。また、北部で見られる変形と同時のマグマ貫入は衝突帯の深部で岩石が部分溶融を幅広く起こしている可能性を示唆している。岩石が部分溶融した場合、その有効粘性は急激に低下するので、大きな高密ブロックの沈降速度が非常に高くなり、上昇することが不可能になる。よって、北部・南部で見られるブロックのサイズの差は南部に比較して北部での有効粘性の低下幅を見積もるための重要な手がかりになると考えられる(論文投稿中)。(2)片麻岩の原岩及び変成年代を調べるために、採集した岩石からzirconを分離し、オーストラリア国立大学の研究所でSHRIMP法によるウラン・鉛の年代測定を行った。その結果、蘇魯帯中部の片麻岩の形成年代は約850Maで、変成作用年代は約220Maということが判った。しかも、岩石中の水の量が極端に低い場合zirconのウラン・鉛の年代は高温の変成作用を被りながらもリセットしないことが明らかになった(論文作成中)。
|