最古の脊椎動物・ヤツメウナギの下垂体ホルモン遺伝子の採取と同定

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11691132
• 研究種目: 基盤研究(B)
• 応募区分: 一般
• 研究機関: 北里大学
• 研究代表者: 川内 浩司 北里大学, 水産学部, 教授 (70050523)
• 研究分担者: 野崎 眞澄 新潟大学, 理学部, 教授 (70136232) ; 森山 俊介 北里大学, 水産学部, 講師 (50222352) ; 高橋 明義 北里大学, 水産学部, 助教授 (10183849) ; JOHN Youson トロント大学, 生命科学部門, 教授 ; STACIA Sower ニューハンプシャー大学, 生化学・分子生物学科, 教授
• キーワード: ヤツメウナギ / 副腎皮質刺激ホルモン遺伝子 / メラノトロビン遺伝子 / 成長ホルモンcDNA / インスリン様成長因子cDNA / 下垂体 / 生殖腺刺激ホルモンcDNA / プロラクチン放出ペプチド

研究概要

1.ニューハンプシャーにおいて、ヤツメウナギとヌタウナギから血液および組織を採取した。また、ハモンド湾生物学研究所においてメスのヤツメウナギ4800尾から脳および下垂体を採取した。
2.ヤツメウナギの副腎皮質刺激ホルモン前駆体とメラノトロピン前駆体の遺伝子について、エキソン・イントロン構造を解析した。いずれも、四肢動物の遺伝子と相同な位置に、二つのイントロンを有することを明らかにした。
3.ヤツメウナギの下垂体から成長ホルモンcDNAをクローニングした。このcDNAはポリA尾部を除き1992塩基からなり、ポリA付加シグナルは2カ所、翻訳領域は609塩基(203アミノ酸)からなる。その部分アミノ酸配列に対応する合成ペプチドを用いて抗体を調製し、下垂体の産生細胞を同定した。
4.ヤツメウナギの肝臓からインスリン様成長因子cDNAをクローニングした。これはポリA尾部を除き848塩基、ポリA付加シグナルは1カ所、翻訳領域396塩基(132アミノ酸)からなる。
5.ヤツメウナギの脳からフナ・プロラクチン放出ペプチド抗体を用いるアフィニティー・クロマトグラフィーにより、25アミノ酸残基からなるペプチドを単離し、アミノ酸配列を決定した。
6.ヤツメウナギの生殖腺刺激ホルモンをヒツジ黄体形成ホルモン抗血清を用いて下垂体cDNA発現ライブラリー中に検索した。陽性プラークから生殖腺刺激ホルモンβ鎖に類似するDNA断片を得た。

研究成果

• [文献書誌] 川内浩司: "脳下垂体ホルモンによるストレスの制御"感性福祉研究所年報. 1. 90-98 (2000)
• [文献書誌] Ichikawa,T.,Kobayashi,H.,Nozaki,M.: "Seasonal migration of the hagfish,Eptatretus burgeri,Girard"Zoological Sci.. (印刷中).
• [文献書誌] Nozaki,M.,Ichikawa,T.,Tsuneki,K.,Kobayashi,H.: "Seasonal development of gonads of the hagfish,Eptatretus burgeri,correlated with their seasonal migration"Zoological Sci.. (印刷中).
• [文献書誌] Nozaki,M.,Ominato,K.,Gorbman,A.,Sower,S.A.: "The distribution of lamprey GnRH-III in brains of adult sea lampreys (Petromyzon marinus)"Gen.Comp.Endocrinol.. (印刷中).
• [文献書誌] Oominato,K.,Nozaki,M.,Takahashi,A.,Kawauchi,H.,Sower,S.A.: "Recent Progress in Molecular and Comparative Endocrinology"Eds,by H.B.Kwon,J.M.P.Joss and S.Ishii,Hormone Res.Center,Chonnam National Univ.,Republic of Korea. 625 (1999)