研究課題/領域番号 |
11691154
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 一般 |
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
伊藤 重剛 熊本大学, 工学部, 助教授 (50159878)
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研究分担者 |
星 和彦 前橋工科大学, 助教授 (70269299)
岡田 保良 国士舘大学, イラク古代文化研究所, 教授 (70138171)
堀内 清治 熊本工業大学, 教授 (70040350)
勝又 俊雄 女子美術大学, 芸術学部, 教授 (70224475)
林田 義伸 都城工業高等専門学校, 助教授 (00149999)
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キーワード | メッセネ / 古代都市 / 古代建築 / 墓 / 都市計画 / スタディオン |
研究概要 |
現地調査 平成11年度の調査は、7月上旬から9月上旬まで約2ヶ月間、古代メッセネのスタディオン地区で行なった。調査対象は、スタディオンに至る主軸街路に面した墓廟IIIである。墓廟IIIは、外法が4.5mほどの正方形で、現状では基壇が2段残っており、その中に細長い石板で8つに仕切られた石棺があるのみである。上部は破壊されており、解体された部材が周辺から多数出土した。この調査には12人が参加し、これまでに墓廟IIIの建築遺構および解体された部材約190個の実測を行なった。帰国後これらの現場実測図は全て清書し、寸法を記入し完成図面とした。 研究内容と結果 調査で得られた実測図面をもとに、解体部材の種類毎に分類し、部材に残る痕跡をもとにその部材位置を推定し、建物の復元を行なった。その結果、基壇は4段、壁が3段、軒1段の正方形の建物で、この上に反りをもった円錐形の屋根がのることが判明した。屋根の頂部にはコリント式の柱頭がのることが確認され、最頂部には彫刻がのったことが推定されるがどんな彫刻だったかは不明である。軒まで約3m、屋根の最頂部までは約8mの高さと推定される。入り口は南側で斜路がついており、内部はスタッコで仕上げられていたことが痕跡から判明した。内部の床は石板で舗装され、その下が石棺になっていた。遺物の研究から年代は紀元前200年ころと推定され、壁石に書かれた碑文などから、この墓は家族墓であり、ローマ時代になって古い遺骨を堀り出して新たに最利用したことが判明している。正方形の墓室に反りのついて円錐形の屋根がのる形は、建築史的にも非常に特異であり、おそらく最古の例ではないかと思われ、今後の研究が期待される。
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