研究分担者 |
中沢 信一郎 日本学術振興会, 特別研究員
西本 真一 早稲田大学, 理工学部, 助教授 (10198517)
佐藤 滋 早稲田大学, 理工学部, 教授 (60139516)
白井 裕泰 共栄学園短期大学, 助教授 (40258926)
土屋 武 早稲田大学, 理工学部, 助手 (00318776)
|
研究概要 |
本研究は,ヴィエトナム・フエ・グエン朝紫禁城の主要宮殿建築である勤政殿の復原及びその基壇址の修復・保存方法に必要な学術的資料の収集を目的とし,フエ遺跡保存センターと共同で復原考察を行い,復原図及び復原模型の制作,勤政殿基壇址の修理保存の実施計画を策定している. 復原考察は構造・形式,様式的分類の他,建築の本質に関わる建築理念,設計方法,生産組織と施工技術に着目して,それらを解明,比較考察することによって初めて得られる宮殿建築の特質を明らかにすることを目的とした. 本年度は,これまでの継続的研究・調査の課題であるフエ遺跡群の実測調査,とりわけ歴代皇帝陵の中でも重要な初代・皇帝の嘉隆帝陵の配置測量を進めた.その結果,1丈がおよそ3810mm〜3870mmの範囲で整合する結果となった. 主要な研究対象である勤政殿の復原設計に資する学術資料(実測数値・史料・古写真・聞き取り)の収集に努め,適宜,電子情報化を進めた.現地研究者と共同で復原図面の基本図を作成し,並行してCAD入力作業を進めた. 設計方法の分析としては,主要な宮殿建築単体の平面計画と断面計画を実測値に基づき分析し,数値解析情報から得られる傾向を追った.柱径・柱間・基壇の規模・部材断面形状・部材間相互の位置関係・屋根勾配などを主要な着眼点とし,木造架構の設計方法を各遺構ごとに図表によって整理分類した. 細部意匠の基礎的研究としては,特にヴィエトナム中部の木造建築に顕著に現れる登梁架構形式に注目し,登梁の細部意匠の情報を写真と拓本によって収集した.分類方法論の確立を収集された細部意匠の情報から検討し,現地との相互に情報を共有することに努めた. また,修復・保存の方法論の確立には,現地の遺跡管理者・研究者・技術者が連携した総合的なプログラムの確立が必須の課題であり,そのような観点に立脚した修復保存事業に資するよう調査・研究が計画された.
|