研究課題/領域番号 |
11691158
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研究種目 |
基盤研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 海外学術 |
研究分野 |
建築史・意匠
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中川 武 早稲田大学, 理工学部, 教授 (30063770)
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研究分担者 |
松村 伸 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (70202356)
白井 裕泰 共栄学園短期大学, 住居学科, 助教授 (40258926)
佐藤 滋 早稲田大学, 理工学部, 教授 (60139516)
坂本 忠規 早稲田大学, 理工学部, 日本学術振興会特別研究員 (00350471)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2001
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キーワード | 国際協力 / 技術移転 / 政策研究 / ベトナム / フエ / 修復 / 保存 / 王宮 |
研究概要 |
当該期間に遂行された研究項目は大きく以下の11点に整理できる。 (1)文献資料における建築の記述の分析:主として『大南一統志』『大南會典事例』『大南寔録』の書誌情報の整理と寸法表記、構造・装飾形式の読解・分析を行った。また重要な箇所に関しては電子情報化を行った。(2)皇帝陵の配置計画の分析:初代嘉隆帝陵、第2代明命帝陵、第3代紹治帝陵の配置測量を行い、漢喃史料の記述をあわせて、計画の理念および配置寸法計画について考察を行い、その造営尺度を推定した。(3)京城の配置計画:京城街区および城郭の配置測量を行い、広域遺跡地図を作製した。またそれをもとに、街区割りと都城造営理念に関して考察を行い、造営尺度を推定した。(4)建築技法:大工が用いるものさしの用法、貫を中心とした横架材の断面形状、王宮の正門である午門の構造形式、一棟式宮殿の設計方法に関して、整理・検討を行った。(5)細部意匠:中心的構造材であるケオの木鼻の彫刻絵様の類型化を初めとして、その元渦紋の形状分析や大梁木鼻の類型化等を行った。なお同調査において百数十枚の拓本と千枚強の写真が記録として残された。(6)漆塗り技法:漆を用いた伝統的塗装技法に関して、工具の分類とソン・ソン・テップ・ヴァンと呼ばれる作業工程、および漆生産過程の日本との比較考察が行われた。(7)伝統住宅:仏文資料をもとに構造形式について整理を行い、併せて3棟の家屋について実測調査を行った。(8)保存修復の歴史:日本における建築史学の祖・伊東忠太のヴィエトナム調査旅行、1947年の王宮の被災状況、戦前戦後のフランス人の研究活動、フエ遺跡保存センターの活動履歴に関して整理・検討した。 (9)勤政殿の復原研究:当該研究課題の中心項目である勤政殿について、基壇の実測・痕跡調査を行い、古写真の分析をあわせて、平面構成と主要部材の寸法計画の復原を試みた。また古写真を用いた寸法復原方法も検討した。(10)フエ周辺の都市計画学調査:現在のフエの都市構造を、フィールドワークをもとに商業空間、人々の交流や活動領域、水辺や緑、城壁の構成に焦点をあて、分析を行った。(11)中華の周縁・北限と南限の比較調査:中華の南限であるヴィエトナム文化に対して、中華文明のなりたちと北限文化である蒙古地域の文化を比較検討し、世界史的視点からフエの文化の位置づけを行った。 上記の研究の成果は、毎年9月および3月に行われる日本建築学会大会および同関東支部研究報告会に適宜発表し、広く公開した。
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