研究課題/領域番号 |
11691166
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研究種目 |
基盤研究(A)
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応募区分 | 一般 |
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原 登志彦 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (80183094)
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研究分担者 |
曽根 敏雄 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10222077)
白岩 孝行 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (90235739)
佐藤 利幸 信州大学, 理学部, 教授 (00154071)
石井 吉之 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (40222955)
山縣 耕太郎 上越教育大学, 地理学教室, 助手 (80239855)
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キーワード | カムチャツカ / 寒帯林 / 氷河 / 凍土 / 針葉樹 / ダケカンバ / 樹木年輪 / 植生変動 |
研究概要 |
カムチャッカ半島Bilchenok氷河西岸の尾根を標高250mから750m(ダケカンバBetula ermaniiの分布限界)までトレースし、ベルトトランセクト5本、高木の年輪コア約60本、土壌トレンチ6個分(土壌サンプル約30個)のデータを取った。その結果、標高の上昇とともにBetula ermaniiの根系の深度が浅くなり、同時に樹高の減少、萌芽率の増大が生じ、標高700mの場所で生育限界(高木限界)が生じていた。また、草本の種多様性も標高の上昇に伴って減少していることが判明した。 カムチャッカ半島KozyrevskのPicea-Betula-Populus天然林内に1haの固定調査区を設置し、胸高幹直径2cm以上の毎木調査、各個体の空間位置の計測、5X5m小調査区毎の林冠閉鎖度調査、主要樹種3種稚樹分布図の作成、林床草本の記載、ギャップ内外での環境計測の開始、主要樹種3種の年輪コアサンプル(約60本)などの作業を行った。Betulaは萌芽により安定的に、Piceaの中サイズクラス以上の個体はギャップを利用して継続的に生長し、2種が排他的に分布、生長することで互いに競争排除する関係にはなっていないことが判明した。さらに、同じ調査地で胸高直径2cm以下の実生と萌芽による更新様式を調査した。Piceaの実生は、ギャップよりもむしろ母樹の林冠下に集中して定着しているなど、ギャップを有効に利用して更新しているとは言い難かった。これらのことは、Picea実生の定着にはギャップは不適な環境であるが、定着後の成長にはギャップは不可欠であることが示唆された。この地域に多い疎林が形成される過程には、構成種に固有の生活史戦略や北方地域におけるギャップ内環境の特殊性(土壌凍結や強光阻害、積雪量の違いなどが考えられる)が関与している可能性が高い。
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