研究課題/領域番号 |
11691166
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原 登志彦 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (80183094)
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研究分担者 |
山田 知充 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (50002100)
隅田 明洋 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (50293551)
佐藤 利幸 信州大学, 理学部, 教授 (00154071)
曽根 敏雄 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10222077)
山縣 耕太郎 上越教育大学, 地理学教室, 助手 (80239855)
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キーワード | カムチャッカ半島 / 森林火災 / 植生 / 気候変動 / 氷河 / カレイタ氷河 / 応答特性 / 氷河水文 |
研究概要 |
カムチャッカ半島では近年の急激な社会変化に伴い人為的な森林火災の発生件数が増加している。落雷などの自然発火による森林火災はこの地域の植生動態を規定する自然撹乱であるが、人為的な森林火災頻度の増加は植生や気候変動に大きな影響をもたらすと考えられる。今回の植生グループの調査では、カムチャッカ半島における人為的な森林火災頻度の増加が森林植生に与える影響を評価した。植生調査では、森林火災後の経過年数の異なる様々な森林を調査し、それぞれの調査地からの樹木の成長錐を持ち帰った。これらのデータから森林火災後の森林の発達機構や樹木の成長パターンを推定し、人為的な森林火災頻度の増加が森林植生に与える影響を予測すべく現在データを解析中である。また、森林火災の頻度が森林構成樹種の変化に及ぼす影響を評価するためのモデルを開発したので、以上のデータ解析が終了次第モデルを走らせる予定である。 氷河グループの調査は、カムチャツカ半島の東岸クロノツキー半島に位置する温暖型の山岳氷河であるカレイタ氷河において、気候変動に対する応答特性と氷河水文学的特性を明らかにすることを主たる目的として実施された。この調査地では、昨年度に植生グループが一次遷移の植生調査を行った。カレイタ氷河は多涵養・多消耗型で、ユーラシア大陸で最も平衡線高度が低く、気候変動に対して極めて敏感に応答すると考えられ、環オホーツク地域における氷河変動の良い指標となることが予想される。調査は、2000年7月28日から9月15日に亘って実施された。当初現場観測期間2ヶ月の予定であったが、隊荷の通関に3週間を要したため、約2週間の短縮となった。上記目的を達成するため以下の観測が実施された:1)GPSとEDMによる氷河の流動観測と新たに開発した歪み計による氷河の流動に伴う歪み量の観測を極めて高頻度に実施した;2)アイスレーダーによる氷厚測定;3)気象観測および氷河表面の質量収支の観測;4)水位、流量、濁度、水温、粒度分布解析用試料採取、河川水の化学分析と同用試料の採取等の水文観測;5)氷河地形の観測・記載。現在、これらの試料の解析中であるが、解析が終われば昨年に行った植生遷移調査の結果と合わせて、気候変動-植生動態相互作用の解明を行いたい。
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