研究課題/領域番号 |
11691166
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
原 登志彦 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (80183094)
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研究分担者 |
山田 知充 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (50002100)
隅田 明洋 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (50293551)
佐藤 利幸 信州大学, 理学部, 教授 (00154071)
曽根 敏雄 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (10222077)
山縣 耕太郎 上越教育大学, 地理学教室, 助手 (80239855)
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キーワード | カムチャツカ半島 / 森林火災 / 植生 / 気候変動 / 氷河 / カレイタ氷河 / 応答特性 / 氷河水文 |
研究概要 |
極東ロシアのカムチャッカ半島では近年の急激な社会変化に伴い人為的な山火事の発生件数が増加している。落雷などの自然発火による山火事はこの地域の植生動態を規定する自然撹乱であったが、人為的な山火事頻度の増加は植生や気候変動に大きな影響をもたらすと考えられる。本研究では、カムチャッカ半島における人為的な山火事頻度の増加が森林植生に与える影響を評価するため、基礎的な植生データの解析とそれにもとづいた森林動態のシミュレーションモデルの構築を進めている。半島中央部のKozyrevsk地方における植生調査の結果、山火事による樹木の死亡率は全体で91.8%。樹種別の死亡率はドロノキ(Populus tremula)が100%、シラカバ(Betula platyphylla)が98.5%、カラマツ(Larix cajanderi)が79.7%であった。火事直後の森林ではドロノキが根系から萌芽を発生し一斉に侵入する。また、シラカバは母樹の基部から多数の萌芽を発生する。山火事後30〜40年経過した森林では個体分布のL関数により求めたドロノキのパッチサイズは半径4.9mに拡大していた(図)。一方、シラカバは山火事前の母樹を中心に半径約1.0mの範囲内に集中分布していた。実生で侵入したカラマツは半径17.7mの範囲内に集中分布を示した。また、各樹種ともサイズの小さい個体が多数見られ、L字型のサイズ分布を示した。山火事後200年が経過した森林では、ドロノキの個体数は6個体/haまで減少し、シラカバのパッチサイズは半径0.6mまで縮小していた。一方、カラマツはほとんどが胸高直径10cm以上の林冠木で、均等に分布し優占していた。サイズ分布はシラカバがL字型を示したのに対し、カラマツは一山型を示した。現在、これらの植生データにもとづいて山火事後の森林の2次遷移過程のシミュレーションモデルを構築中である。
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