研究課題/領域番号 |
11691169
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研究種目 |
基盤研究(B)
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応募区分 | 一般 |
研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
本江 昭夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (30091549)
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研究分担者 |
鈴木 啓助 信州大学, 理学部, 助教授 (60145662)
岩間 和人 北海道大学, 農学部, 助教授 (70144219)
高橋 英紀 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 助教授 (20001472)
稲村 哲也 愛知県立大学, 文学部, 教授 (00203208)
山本 紀夫 国立民族学博物館, 教授 (90111088)
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キーワード | チベット高原 / ヤク / ヒツジ / 遊牧 / コムギ / オオムギ / 熱と水収支 / 気孔 |
研究概要 |
平成11年9月2〜18日に、チベット自治区の中央部を南北に縦断し、ヤクとヒツジの遊牧を主体とする牧畜業と、コムギとオオムギを主体とする農業の現状について調査した。さらに、平成11年7月6〜17日に、チベット自治区のラサの東40kmにある中国科学院農業生態実験站のコムギ畑において、熱・水収支、葉面積と気孔の挙動、降水および地下水の電導度・pHを測定し、低炭酸ガス濃度、低水蒸気圧というチベット高原特有の低圧環境の特性と作物の反応を調査した。 ムギ類は、一般の畑では標高3800m以下で栽培されていた。これより標高の高い所では自然草原を利用した、ヤクとヒツジの遊牧が行われていた。しかし、今回の調査では、標高4600mの村でもオオムギの栽培を確認した。このオオムギは、高さ1mほどの石垣で囲った畑で栽培されており、子実の採取が目的ではなくて、秋口に葉茎を刈取り、乾草を作るのが目的であった。以前はオオムギ栽培が主体であり、チベット族の人はザンパ(ムギこがし)を主食としていた。しかし、漢族の人が増加するにつれ、コムギを主体とする食生活へと変化してきた。同時に、それまでほとんど栽培されていなかった、ジャガイモやトウモロコシの栽培が、特に大都市周辺で増加している。この傾向は今後さらに促進されると思われる。 サラ近郊のコムギは、10月中旬に播種され、12月中旬に越冬を開始し、翌年の3月始めに緑色を回復する。葉面積の最大期は6月中旬と推定された。7月上旬の単位土地面積当りの葉面積は1.0-2.1と比較的小さかったが、葉が著しく厚かった。7月末に収穫され、6.2〜11.5トン/haと極めて多収であると推定された。ラサ近郊では、日射は非常に多く、天空外日射に対する比は曇天で0.6、晴天で0.8と高かった。これを反映して純放射量も多く日中の最高時で1kwm^2に達した。
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