研究課題/領域番号 |
11691176
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
諏訪 元 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (50206596)
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研究分担者 |
三枝 春生 姫路工業大学, 自然環境科学研究所, 助手 (70254456)
加藤 茂弘 兵庫県立人と自然の博物館, 地球科学部, 研究員 (50301809)
仲谷 英夫 香川大学, 工学部, 助教授 (20180424)
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キーワード | 人類進化 / 東アフリカ / アウストラロピテクス / アルディピテクス / 類人猿 |
研究概要 |
本年度の調査研究としてはアルディピテクス・ラミダスの形態解析を進める一環として、他の初源期の人類化石との比較調査を実施し、また未記載のアルディピテクス標本群の評価に必要不可欠な比較データ群を主として現生の類人猿について収集した。コンソ遺跡群の調査研究としては、特に古生物および地質資料のデータを充実し、それらの解析を進め、全調査域の層序年代学的枠組みの構築を実現し、コンソの哺乳動物相の特徴と時代的変遷を明らかにすると同時に東アフリカにおける古環境変遷史と人類進化パタンとの関わりを検討した。初源期の人類化石の比較調査は、パリ自然史博物館(ケニア産化石とアルディピテクスの比較)とポワティエ大学(チャド産化石とアルディピテクスの比較)において実施した。現生類人猿については、歯牙と頭蓋の形態データをペルギー王立中央アフリカ博物館(ボノボとチンパンジーの東部亜種)とオランダ・ライデン自然史博物館(オランウータン)にて取得し、後者においてはスマトラ産のオランウータンの亜化石標本群をも調査対象とした。また、ボノボの大臼歯27点、亜化石オランウータンの大臼歯30点を一時借用し、これらについては国内においてマイクロCTによる高解像度の3次元データを取得した。また、初期人類における形態進化研究の基盤的研究としては、注目されている形質の一つであるエナメル質の厚さについて特に進めた。ヒヒの大臼歯57点のCT断面像を元に、磨耗面から十分な精度でエナメル質厚さを計測する方法を確立し、研究協力者とともにエナメル質厚さの遺伝分散と性差、歯冠サイズとの相関を推定し、厚さ分布の比較方法論の確立に寄与した。また、研究協力者とともにCTデータの解析を進め、類人猿とヒトのエナメル質厚さの三次元分布パタンを明らかにした。その結果、ヒトと類人猿の祖先状態は分布様式が比較的一様で厚さは中間的であったことが示唆された。
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