研究分担者 |
綿野 泰行 千葉大学, 理学部, 助教授 (70192820)
伊藤 元己 東京大学, 大学院・総合文化, 助教授 (00193524)
長谷部 光泰 岡崎共同機構, 基生研, 教授 (40237996)
藤井 紀行 東京都立大学, 理学部, 助手 (40305412)
朝川 毅守 千葉大学, 理学部, 助手 (50213682)
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研究概要 |
前々・前年度収集した植物資料の集団遺伝学的・分子系統学的解析を進めた。本年度の現地調査は次のように計画され,実行された。前年度の結果よりグンネラ属等がアンデス沿いに分化していった過程の解析に最適であることが判明したので,さらに詳細に資料収集を行った。また,同様にグンネラほど集団密度が高くないにしろ分布範囲が広く,解析に適した,ユキノシタ属の1種,カタバミ属の1種,フウロ属の1種等も重点対象種とした。すなわち結果として,チリ,ボリビア,エクアドル,アルゼンチン,そして同種が著しい隔離分布を示しているとされるニュージーランドとタスマニア(オーストラリア)において,さまざまな地域より集団サンプリングを行った。グンネラにおいては1集団より30個体以上からのサンプリングを基本として合計50集団以上から資料を収集することが出来,他の種類については可能な限り多数の個体と集団よりサンプリングを試みた。いずれの地域も交通手段はレンタカーしか無いために多人数での調査は困難なため,調査班を3班に分け,さらに南米域の植物に詳しい者と植物採集に長けた者との2名を研究協力者として参加を要請し,調査班を構成した。 現時点でのグンネラに関する予備的な解析結果によれば,チリとボリビアの集団間において遺伝的な差異が検出されている。葉緑体DNAのtrn L(UAA)5ユexon-trnFの遺伝子間領域約730dpを解析した結果,チリとボリビアの集団間において2塩基と1挿入/欠失が認められた。現時点ではまだ解析集団数が少ないが,葉緑体DNAの系統地理的な構造が検出できる可能性が高いのではないかと考えている。今後,チリ南部とエクアドルの集団も含めて解析を進めていく予定である。
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